[タウン抄] 教材費に物申す

2024年12月18日

タウン抄

「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム 

数カ月前のことだが、中学1年生の娘が学校からプリントを持ち帰ってきた。見ると、授業用に柔道着を購入するように書いてある。「そんなもの買う必要がないよ」と退けると、「全員買わなきゃいけないんだよ」と娘がプリントの一部を指差した。読むと、「安全上の配慮から、全員の購入をお願いします」とある。10回程度しか着ないものを? 「なんだそれ!?」と頭に血が上った。

後日娘に聞くと、初回の授業では購入しなかった二人が体操着のままだったという。その中で何をしたかというと、正しい柔道着の着方の指導があった。帯の締め方がポイントで、二人は正座して見ているだけだったそうだ。

これはいよいよいけない。帯一本を貸せば良いだけの話で、二人はつらい時間を過ごしたことだろう。機会を見つけて学校に意見したいと思っている。

しかし、考えてみると、買う必要のないものは山ほどある。絵具、書道セット、彫刻刀、ピアニカ、裁縫セット……。そんなものは学校でまとめて買って、共用にすれば良い。ピアニカや笛は、口を付けるところだけ個人購入にすれば事足りるはずだ。現に、給食の割烹着は共用ではないか。

「だけど、学校もお金がないのよ」

横で妻が言うが、問題はまさにそこにあって、市・都・国がしっかりと予算を付けるべきだろう。周知のことだが、日本の公的支出における教育費割合は8%程度しかなく、OECD加盟の36カ国中、3番目の低さだ。

ちなみに、ドリルなどの学校教材を無償にしている自治体が幾つか出ている。学校給食費と同じように、無償化の流れができると良いのだが。

皆さま、よいお年を。

谷 隆一

地域紙「タウン通信」発行人。著書に『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『起業家という生き方』(同、共著)、『スポーツで働く』(同、共著)、『市役所で働く人たち』(同)。商業誌などでも執筆。

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