東村山市を拠点に世界で活動するアルゼンチン人・ギタリスト、レオナルド・ブラーボさん。
祖国のフォルクローレやタンゴ、さらにクラシックまでレパートリーは幅広く、これまでに多数のCDやギター教則本を世に出しています。
コンサートもさまざまなスタイルで行っており、16日(火)には、小平市中央公民館でバイオリンとのデュオでタンゴを披露します。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
15歳で始め、一気にのめり込んだ
レオナルドさんが生まれ故郷のロサリオでギターを始めたのは、「とても遅い」という15歳。動機は「合唱部に好きな女の子がいたから」という思春期にありがちなものでしたが、父の勧めで聴いた一流奏者のエドゥアルド・ファルーのフォルクローレに感動してからは、一気にのめり込みました。
国立ロサリオ大学芸術学部音楽学科で学び、そのまま、今度は指導者に。24歳から36歳までの10年以上をギター講師として過ごしました。
経済困難の中で、音楽の価値を再発見した
レオナルドさんに日本とのつながりが生まれたのは、2001年。
CDのプロモーションなどでカナダを訪ねた際、語学留学していた、後に妻となる淳子さんに出会いました。
その後二人は、アルゼンチンで生活。同年末のデフォルト(債務不履行)に直面し、紙幣価値が急落する困難も体験しました。
ただ、経済困難の中で見た状況は、音楽家としての礎を築くものにもなったといいます。
「食べ物のことしか考えなくなるのかと思ったら、まったく逆で、コンサートに多くの人が足を運ぶようになったのです。音楽に癒やしや救い、あるいは心の活力を求める姿がありました。
プランのないまま日本へ
レオナルドさんの来日は2003年のこと。音楽でどう生計を立てられるのか何のプランもありませんでしたが、運良く九州でコンサートを開くことができ、ギター専門誌にも注目されるようになりました。
以来、日本をベースに、世界各国で演奏活動を続けています。
トトロの森のそばに拠点
来日当初は妻の故郷である福岡県に暮らしましたが、「音楽活動をするなら東京に」との誘いを受け、8年前に転居しました。
そのときにこだわったのは「緑の豊かなところ」。
今は「トトロの森」として親しまれる八国山の近くに暮らし、時間を見つけては森の中でのジョギングを楽しんでいます。
振り返れば、故国での安定した職を捨てて飛び出した「不安の毎日」でもあったというレオナルドさん。しかし、あの経済困難の中で見た光景のように、「安定」や金銭以上に価値があるものを知っています。
「こうして演奏活動を続けられるのはありがたいこと。このチャンスを生かさないのはもったいない。常に自分の最善のものを出していきたいです」
◆レオナルド・ブラーボ 1967年アルゼンチン出身、ギタリスト・作曲家。東村山市に妻と小学生の長男と暮らす。受賞歴にジョン・エドワード特別芸術賞(アメリカ・マーシャル大学)ほか。アルバム作品に「タンゴ名曲集」「ブエノスアイレスの四季」、教則本に「タンゴ名曲集」など多数。
コンサート「ブエノスアイレスの午後」
レオナルド・ブラーボさんが出演する16日のコンサートは、午後3時から。「ブエノスアイレスの午後」と題し、バイオリニストの近藤久美子さんとタンゴをメインに演奏します。2000円。詳しくはファーメイ(042・308・0903、https://farmei2016.jimdo.com/)へ。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)