総選挙・東京18区立候補予定者の公開討論会 青年会議所主催で

2024年10月12日

小金井市・西東京市・武蔵野市エリアから4人の見込み

10月27日(日)投開票の衆議院議員選挙を前に、11日(金)、東京18区からの立候補予定者による公開討論会が実施された。

2022年に小選挙区の区割り変更がされて初の総選挙。東京18区は、西東京市、小金井市、武蔵野市。

この討論会は、有権者の政治参画の意識の向上などを狙いに、小金井青年会議所が主催し、一般社団法人武蔵野青年会議所、西東京青年会議所が共催した。午後7時30分から9時30分まで、2時間にわたって、小金井青年会議所のYouTubeチャンネルでLIVE放送された。

左から松下玲子さん(立憲民主党)、福田かおるさん(自由民主党)、樋口亮さん(日本共産党)、徳永由紀子さん(参政党)

 

有権者への判断材料の提供を意識して進行

討論会に参加したのは、徳永由紀子さん(参政党)、樋口亮(まこと)さん(日本共産党)、福田かおるさん(自由民主党)、松下玲子さん(立憲民主党)の4人。全員が新人。※1

地域の有権者が投票する際の判断基準になることを目指し、個別の政策議論ではなく、それぞれの候補予定者の思いや強みが伝わるような設問・進行がされた。

 

それぞれの自己紹介

まず、冒頭では、くじ引きで決まった順に従い、以下のような自己紹介があった。

松下さん

「都議を2期8年、武蔵野市長を2期6年務めてきた。特に力を入れてきたのが、子ども・子育て・若者支援や高齢者支援。私自身が高校生の子どもを育てる母親であり、子育てと仕事の両立を続けてきた。それが簡単ではないことが分かるからこそ、当事者の立場を生かして政策実現をしてきた。例えば、武蔵野市長のときには待機児童の問題を解決した。

そうしたなかでも、他の自治体や全国で少子化は進んでいる。国が本気で子育て支援を行うべきと考えるようになった。

また、パートナーシップを条例化したが、やはり法律を変えたいという思いが募り、立候補を決意した。

地方政治の経験、子育ての経験を生かし、国政に挑戦していきたい」

松下玲子さん

 

福田さん

「1985年生まれの39歳。社会の基盤、ルールを作りたいと考え東京大学法学部に進み、卒業後は『食』という大切な基盤を次の世代につなげたいと考え、農林水産省に入省した。法令の改正、予算事業などに関わった。観光庁にも出向し、観光振興、東日本大震災からの復興支援などにも関わった。

また、海外勤務の経験もある。特に、ジェトロ(日本貿易振興機構)でタイ・バンコクに赴任したときには、タイ政府と規制交渉を行って、輸出が止まりそうになっていた企業を救い、輸出を3割増やすという経験もした。

このように世の中が変えられるなら、政治の世界からもっと変えられると思い、政治の世界を志し、齋藤健法務大臣のもとで法務大臣秘書官として働いた。社会の役に立ちたいという強い思いがある。

アメリカの大学院に留学し、タイ、インド、バングラデシュ、アフリカのマラウィなどでインターンも経験してきた。子ども、お孫さんたちの世代も日本に生まれてよかったと思える社会を作っていきたい」

福田かおるさん

 

樋口さん

「高校生のときに広島に行き、被爆者の話を聞く機会があった。どの被爆者も戦争は繰り返してはいけない、核兵器は絶対になくさなければならないと、体験を踏まえて話してくださった。そしてそのとき、被爆者の方々が平和を求める声を長年上げてきてこられたことも感じた。

そうした被爆者の思いを聞いた私自身も、聞くだけでなく、一緒に声を挙げていくことが必要ではないかと思い、以来、平和運動に取り組んできた。これが私の原点。18歳のときに日本共産党に入った。声を挙げていけば、政治、社会を変えていける。これを実感している。

若い人にも高齢者にも冷たい政治が続いている。こうした政治を何としても変えたい。その思いで、立候補を決意した」

樋口亮(まこと)さん

 

徳永さん

「私は看護師、保健師をしていて、この10年は訪問看護師として在宅医療の仕事で、難病、がんの方、お看取り、子どもが病気の方などさまざまな方に寄り添ってきた。

私自身は、中高生の子どもがいて、家族4人で暮らしている。

これまで政治に強く関心を持ってきたわけではないが、私たちの今の生活、生活に根ざした課題がたくさんあることに気づき、私のような、一市民、一看護師、一母親の立場だからこそ伝えられることがあるのではないかと思って、立候補した。

私は、キャンプと読書が趣味。自然の中で、子どもたちもなるべく自然な形で、自然に持っている力を生かすような形で、子育てをしてきた。家族健康に暮らせてこられたことに感謝している」

徳永由紀子さん

 

最も力を入れたい政策は…

次に、「最も力を入れたい政策」の表明が行われた。

福田さん

「働く世代が希望を持って働ける環境づくりに注力したい。また、教育。大人になってからの教育も大切だ。そして、そのベースとなる安全保障に力をいれていく」

 

樋口さん

「働き方の改革を優先的に取り組む。賃上げとともに、労働時間の短縮が必要。具体的には最低賃金1500円、労働時間7時間。人間らしいゆとりある生活をつくる」

 

徳永さん

「新型コロナウイルスの予防接種で後遺症を負った方々がいる。そうした薬害にあった人を迅速に救済したい」

 

松下さん

「本気の政治改革。さまざまな課題があるが、政治と金の問題をまず決着しないと政策にも信用が得られない」

 

その後、クロストークが行われ、特に自民党から立候補予定の福田さんをめぐって「新人の立場で、政治と金の問題の解決にどう貢献できるのか」と議論が白熱した。

続いて少子高齢化をテーマに議論。このテーマでは、クロストークの際に外国人参政権を巡ってそれぞれの考え方が明確になる場面があった。

討論の様子

 

各候補者の強みは?

設定された最後のテーマは「各候補予定者が持つ強み」。

徳永さん

「団地で育ち、看護師として20年。こうした庶民の、いわゆる普通の市民感覚が大事だと思う」

 

松下さん

「メンタルが強い。地方自治の現場での経験。武蔵野市長時代はコロナ禍で危機管理も経験してきた。さらに、民間企業で働いた経験もあり、これらを生かせるのが強み」

 

福田さん

「国家公務員として14年の経験。国際経験も幅広く積んできた。これからは国際社会と対峙していく能力も重要だ」

 

樋口さん

「働き盛りの37歳。共産党員として18歳から平和運動を続けてきた。その後、労働環境の改善に取り組んできている」

上記のようなそれぞれのアピールの後、クロストークでは、経験をもとにどのような貢献をしていけるかの議論があった。特に、国家公務員から転身した福田さんと、都議・市長の経験がある松下さんの間で、「現場」をめぐっての意見の応酬が見られた。

スタジオのようなセットが組まれ、LIVE放送された

 

政策の違いが明確に

最後には視聴者に向けたアピールが各候補予定者から行われたが、その際に松下さんが強調したように、幾つかの点で明確に「政策の違い」が浮き彫りになる公開討論会だった。有権者にとっては判断材料の一つとして、貴重なコンテンツとなったといえるだろう。

討論会は、アーカイブとして公開されている。引き続き、小金井青年会議所のYouTubeチャンネルから視聴できる

なお、公示日は15日であり、立候補者は増減の可能性がある。

上の画像から動画にアクセスできます

 

【各候補者ホームページ・リンク】

徳永ゆきこ

樋口まこと

福田かおる

松下玲子

 

編集部注
※1 五十音順で記載した。氏名は当日の掲示に従った
※発言の順番は設問ごとに変わった。記事では発言順に記載した
※上記記事は概要であり、一言一句を書き起こしたものではない。詳細は公開動画でご確認を。

 

【取材余話】

公開討論会は一般の来場者を入れず、動画配信に絞った形で実施された。来場者があっての選挙前討論会は何度か取材経験があるが、こうしたスタイルは初めてのことで、最初は面食らった。スタジオ収録のような格好で、機材が並び、一般公開とはまた別の緊張感があったが、考えてみれば合理的なやり方であり、今後のスタンダードになっていくことだろう。取材後に改めて動画を視聴したが、少子高齢化のデータやテロップなども分かりやすく、視聴者にとっても気軽に見られるのはありがたいはず。本来はメディアの仕事なのだが、高い志を持って、ハイクオリティに実施なされた青年会議所の皆さんに敬意を表したい。(谷)

編集部注 選挙は終了していますが、地域情報として公開を継続しています。

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