小平市の西端にある「小平・村山・大和衛生組合」。
小平市、東大和市、武蔵村山市で運営するごみの中間処理施設で、3市の家庭から出る可燃・不燃・粗大ごみと、資源物となる容器包装プラスチックとペットボトルの処理を行っている。その年間の総量は約5万6904㌧にも及ぶ(2023年度)。
ここで稼働中のごみ焼却施設は1986年に建設されたもの。その隣に新たな焼却施設が建設されつつあり、来年10月に本格稼働の予定だ。
その工事現場見学会が先月3日に開かれたので、親子向けの回に参加した。子どもたちとともに、こちらも〝自由研究〟の課題に取り組むことに。
工事現場の見学会の様子
今回の見学対象は、建設中の焼却施設の内部。建設課の橋本尚弥さんがガイド役を務める班に同行した。
まずは素朴な疑問から聞いてみた。これまでの施設が稼働しているのに、どうして新しい施設を造っているのだろう。
「現在の焼却施設は今もきちんと動き続けています。ただ、問題はメンテナンスです。機器が古くなると整備や修理に対応できなくなるのです」
一般の焼却施設は約25年から30年ほどでお役御免となるそうだから、約40年動き続けているここの焼却施設はかなり頑張っている。
環境への配慮
新ごみ焼却施設に足を踏み入れると、工事用に設けられた階段、足元を照らす照明と、まさに工事現場である。子どもたちは、みなウキウキしているように見えた。階段を上り、そして下り、ごみの流れとともに焼却から灰に至るまでを解説してもらう。
焼却灰はセメントの原料などに再利用されるという。排ガス処理とともに最新技術を駆使して環境への影響を最小限に抑える工夫がなされているそうだ。
建設中の新焼却炉(外観)
2基で安定稼働
焼却施設のメインはやはり焼却炉だろう。これは現在と同じく2基造られていて、1日の焼却能力は236トンである。炉は365日、24時間、休まず稼働し続ける。2基あることで、片方のメンテナンス時にも炉を止めずに済むことになる。
煙突の高さは59・5メートルで、外部から見ると今の煙突よりも低くなっている。
焼却後のろ過装置の一端を見せてもらったが、巨大な管を通る幾重にも重ね合ったフィルターとその装置を見ると、環境への配慮の深さ、重さを思い知ることができた。
職員の説明に、子どもたちは熱心に聞き入っているので「分かる?」と尋ねると「うーん、よく、分からない」。そりゃそうだよね、大人でも難しいもの。ただ、最後にボルトを締める体験作業があり、見事にボルトを締めて切断していくと、実に楽しそうであった。
建設中のごみ焼却施設の内部
地域に役立つ施設に
新ごみ焼却施設は来秋の本格稼働を前に、今年度末ごろから試運転がスタートするようである。旧施設と両方を稼働させつつ、徐々に交代させることになるのだろう。
その後、旧施設は解体され、全体の工事が終わる2028年3月には、ごみの流れを回廊のようにして、ガラス張りの廊下から見学できるようになるという。他に環境学習のフロアなども設けられ、今以上に市民の興味や要望に応えられる「ごみ処理施設」となっていくようだ。
また、同じタイミングで、災害時の廃棄物処理の必要性などを重視し、耐震性や非常用電源を確保するなど一時的な避難者の受け入れができる体制も築いていく。
なお、新施設では焼却熱を利用した「ごみ発電」を行い、3市の市役所や小学校などの公共施設の電力に用いる予定。その発電所出力は6000㌔ワットを計画している。
(取材記者・山村基毅)
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