「緑の島」柳窪を歩く 旧家などを巡る「春の見学会」

2024年4月3日

国の登録有形文化財「顧想園」など

武蔵野の面影を色濃く残す東久留米市柳窪地域。NPО法人「東久留米の水と景観を守る会」では、春と秋に旧家などを巡る見学会を開いている。今月27日㈯の開催を前に、同会の案内で先駆けて歩いてみた。

顧想園(村野家住宅)。取材時はちょうど茅葺屋根の葺き替え作業中だった

 

「航空写真で見ると明らか。この一帯だけ、木々が里山のように茂っており、私たちはここを『緑の島』と呼んでいます」

そう案内してくれたのは同会代表の加藤隆章さん。この地域に豊かな緑が残るのは、地権者有志たちの働きかけによる。急速に進む宅地化からこの地域の緑と景観を守ろうと、開発を制限する「市街化調整区域」を申請し、1990年に12・2ヘクタールが指定された。

これにより一帯には、江戸の後期から明治時代にかけて建造された伝統的な大型民家や、白壁の土蔵群、カシ・ケヤキなどの屋敷林、竹やぶ、茶畑、ヒイラギの生垣などが残ることになった。

その景観や人々の思いを知ってほしいと、同会では20年ほど前から見学会を開いている。

樹齢400年とみられるケヤキ

 

コースは、まず畑で、柳窪発祥の「柳久保小麦」を見学。取材日には偶然、栽培者の奥住寿男さんと会え、「伝承することで皆さんに喜んでもらえれば」のコメントも頂いた。

続いて、江戸時代から残る土の道を行き、柳窪地域最古という樹齢約400年のケヤキがある旧家などを訪ねる。家は桁行10間、前庭と奥庭を隔てる中雀門があるなど、共通した特徴が見られる。

典型的な造りの旧家

 

ハイライトは市内唯一のかやぶき家屋がある村野家住宅(顧想園)だ。

ケヤキの一枚板を使用した薬医門や、3つの土蔵、奥庭には枯山水の石庭がある。1838(天保9)年築の主屋など7つの建造物は国指定の登録有形文化財。ちなみにここは1866年の武州世直し一揆で襲撃され、間一髪で打ちこわしを免れた歴史がある。

「いずれも個人所有の家なので普段は敷地内に入れません。この機会にぜひご見学ください」と同会の富塚健二さん。

見学会は27日㈯午前9時30分からと午後1時からの2回。定員各回30人、応募多数時抽選。参加費600円。

顧想園(村野家住宅)にある薬師門

 

顧想園

東久留米の水と景観を守る会(ブログ)

 

編集部おすすめ

1

弱者に優しい社会へ、情報共有を 44歳で肺腺がんステージ4と診断され、2人の子どもを育てながら闘病を続ける水戸部ゆうこさん(50)の企画で、23日㈯㈷に小平市中央公民館で、がん関連の情報を広く伝えるオ ...

2

二十四節気の立冬(7日)と小雪(22日)を迎える11月は、いよいよ冬の始まり。 二十四節気とは、1年を24の期間に分け、それぞれ季節的な特徴を表す名称をつけたものです。 すこし前のデータになりますが、 ...

3

11月23日、市民の企画で 参加者募集中 西東京市と周辺市区を舞台に、時間内にできるだけ多くのチェックポイントを回って得点を集めるイベント「西東京シティロゲイン2024」が、11月23日(土)に開かれ ...

4

ワークショップのお披露目、トークセッションも 誰もが生きやすい社会を目指して、主に映像を用いた地域交流イベントやワークショップなどを行っている「にじメディア」が、11月28日(木)から30日(土)まで ...

5

 27階建て大型ビルの工事現場に、市民の思いを 公共施設が入る予定の工事現場の仮囲いに、小平の未来のイメージ画を飾ろう――。 西武国分寺線・拝島線「小川駅」西口前で建設中の再開発ビルを巡り、 ...

Copyright© タウン通信 , 2024 All Rights Reserved.