【タウン抄】マルハラ

2024年3月6日

タウン抄

「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム 

 

つい先日、妻が唐突に尋ねてきた。

「マルハラって知ってる?」

マルハラ、マルハラ……。

何だろう? 原さんのお店の屋号かとも思ったが、そもそも知り合いに原さんがいない。何かのハラスメントだな、とピンとは来たが、マル、マル、マル……と言葉を探しても、マルチメディアかマルチ商法以外に思いつかなかった。

我ながら、語彙が貧相だ。

「LINEのメッセージとかで語尾にマルを付けるでしょ? あれが、若者には心理的にプレッシャーだっていうのよ」

妻の答えを聞いて、びっくりした。

「マルって、句点のこと?」

「そうよ。ウチの子にも聞いたら、やっぱりマルが付いていると緊張するんだって」

ほんとかよ、と思ってその場で娘からのメッセージを見返してみたら、確かにマルが付いていない。代わりにあるのは「!」「?」や絵文字だ。

気になってネットで検索すると、複数の記事が出てきた。

そのうちの一つは「若者の半数が『了解です。』に不安を覚え、4割が『了解です!』に安心する」といった情報を伝えている。軽すぎない、それ?

いや、こう言っている時点でオヤジなのだろう。

だが、少し考えてみてほしい。いい年したオッサンが、「よろしくぅ~!!」だの「♪オツカレサマ~ω^^」だのとメールしていたら気持ち悪くないだろうか。いや、もちろん、プライベートにする分にはそれぞれ好きにすれば良いのだが。

要は世代間ギャップということになるのだろうか。

そういえば、LINEが出始めた頃は、LINEで欠勤を連絡してくる若者に批判的な目が主流だった。

ところが今は、LINEは立派なビジネスツール。

子どもが将来なりたい職業でユーチューバーが上位に出たときには世も末かと思ったが、今や小学生では4年連続で1位で、社会もそれを受け入れている。時代の感覚が移り変わるのはあっという間だ。

となれば、もう腹をくくって変化を楽しめばよいのだろうが、マルハラについては、個人的にはちょっと無理。何せ、こちとら、「文章で句読点以外の約物は極力使うな」とたたき込まれてきた身なので……。

せめて後は、「これはハラスメントではありません。」と声を上げていくしかない。

いや、「♡ハラスメントじゃないよ~☺」としなきゃ伝わらないかな。

タウン通信・発行人 谷 隆一

地域紙「タウン通信」発行責任者。著書に『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『起業家という生き方』(同、共著)、『スポーツで働く』(同、共著)、『市役所で働く人たち』(同)。商業誌などでも執筆。

 

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