課題が残るマンションの「共助」 人的・物的被害の半減を目指して――
前号で、地震規模によっては、この地域で231人の死者、2901人の負傷者、9225棟の建物全・半壊が想定されていることなどを紹介した。その被害を少しでも減らすためには、市民一人ひとりの防災意識向上や自助努力が欠かせない。現状と、求められる対策とをまとめた。
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2030年度までに自助の備えを講じている都民の割合を100%に――東京都では、「自らの生命は自らが守る」を防災の基本理念に、自助・共助の必要性を強調している。読者の皆さんは、何らかの対策をしているだろうか?
一例ではあるが、都の防災計画では、以下の現状を紹介している。
▼3日間以上の食料備蓄がある=71・8%
▼家具類の固定等の転倒・落下・移動防止等をしている=62・2%
▼災害用伝言ダイヤルか災害用伝言板を知っている=70・9%
▼1年間の防災訓練体験者数=約48万人
都では、自助の備えとして上表のような措置を呼びかけているので、ぜひ参照してほしい。
地域防災・共助
さて、このように自助では過半数が対策していることが見て取れたわけだが、楽観視するのはちょっと早い。より課題があるのは共助だ。
自主防災組織の活動の鈍化(10年で半分以下)などが指摘されるが、中でもマンションの共助が懸案となっている。
北多摩エリアもそうだが、マンションの増加は著しく、都内全体でこの10年のうちに約45万戸が増えている(総数約201万戸)。そのうち、11階建て以上の高層マンションがおよそ半数を占める。1棟当たりの居住者が多いほど、エレベーター停止やトイレの使用などの問題で、共助が必要不可欠となる。
が、データを見ると、不安は増す。以下は全て、マンション限定のデータだ。
▼非常食や飲料水を備蓄している=19%
▼防災用品、医療品・医薬品を備蓄している=38%
▼災害時の対応マニュアルを作成している=31%
▼定期的に防災訓練をしている=45%
非常食・飲料水などは自分で備蓄するべきという考えもあるが、都では、「エレベーター復旧などの理由で、多数のマンション居住者が避難所に避難することが想定される」と指摘している。つまり、住居の耐震性は確保できているのに避難所生活を選ぶ人が出てくることを示唆している。インフラの復旧に要する時間が長期化することを想定すると、ストレスの少ない在宅避難を実現させるためにもマンション単位での備蓄は求められてくるものだろう。
最後に、東京都では、「東京都防災アプリ」を提供しているので、紹介しておこう。平常時はもちろん、発災後にも情報が集まる(はず)ので、お守り代わりにダウンロードしておくと良いだろう。これもまた、防災の備えとして。
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