当初は6市の運営でスタート
これまでに400万人以上が訪れている、この地域の名物施設ともいえる「多摩六都科学館」が、このほど開館30周年を迎える。その節目に当たり、今月と来月の日曜日に、数回に分けて各市対象の「市民感謝デー」を実施する。
同館の開館は1994年3月1日。当時の田無市・保谷市(共に現在の西東京市)と、東久留米市、小平市、東村山市、清瀬市の6市によっておよそ7年の準備期間を経てオープンに至った。その名残は、現在も「六都」の名称にうかがえる。
当初は子どものための科学館が構想されていたが、より広く地域で必要とされることを重視し、世代間交流や生涯学習の場として開館。施設の目的として「科学と人間の調和を目指す」などと共に「地域コミュニティーの生涯学習拠点となる」を掲げる。その象徴が知恵の輪のサポートや昔あそびなどで活躍する赤いベストが目印の科学館ボランティアで、約100人が登録している。
プラネタリウムが世界一に認定
30年のうちには、さまざまなことがあった。2012年には、指定管理者への運営委任がスタート。当時から現在まで、一貫して㈱乃村工藝社が担っている。
また、同年には、世界最大級の大きさのドームを持つプラネタリウムをリニューアル。これに合わせて約1億4000万個の恒星を映せる投映機・ケイロンⅡが設置され、「最も先進的なプラネタリウム」として世界記録に認定される快挙もあった。
さらに翌13年3月には、「チャレンジ」「からだ」「しくみ」「自然」「地球」の各展示室もリニューアル。体験型の展示は、現在まで人気となっている。
これらの常設展示の一方で、企画展や特別な講演会なども行ってきた。例えば、日本・世界の昆虫標本を会場いっぱいに展示した「ロクト大昆虫展」や15年のノーベル物理学賞受賞者・梶田隆章氏の講演会などは話題となった。
立地する西東京市にはかつて東京大学原子核研究所があり、そこから東京大学宇宙線研究所などが発足した歴史があることから、同館の髙柳雄一館長は「原子から宇宙へ、日本の科学発祥地の伝統も活かし、地域に役立つ持続可能な目標の実現に努めたい」と今後への抱負を語る。
バス運行、入館無料
この節目に当たり、同館では、各市の在住・在学・在勤者は入館料無料になる市民感謝デーを実施する。この日のみ、各駅から無料の直行バスも運行。以下の通り。
▼2月18日㈰=東久留米市・東村山市。東久留米駅西口・東村山駅東口からバス運行
▼3月3日㈰=小平市、清瀬市。小川駅東口、清瀬駅北口からバス運行。
▼3月10日㈰=西東京市。保谷駅南口からバス運行。
なお、各日午後3時50分からのプラネタリウム番組に限り、前週水曜日からウェブで予約ができる。プラネタリウム・大型映像の観覧は別途料金が必要。入館の際は、対象者であることを証明できるものを持参を。
30周年記念イベントはこのほか、「おうちで天体観望 市民感謝デー オンライン天体観望会」(3月3日)など多数企画されている。詳細はウェブ参照を。
詳しくは同館(☎042・469・6100)へ。
※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています
【取材余話】
田無市と保谷市が合併したのは2001年。当時から市民の半分が入れ替わっているといわれており、「六都」にピンと来ない方は多いことだろう。多摩六都科学館ではホームページや広報紙で「ロクト」と各所に記載しており、一種の愛称となっている。こうやってかつての地域の名残りが密やかにつながっていくのはいいな、と見るたびに思う。(谷)
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