水墨画の個展を開催する元中学校教諭
元中学校教諭。国語科を担当しながら美術部顧問などを務め、この地域でも、西東京市立ひばりが丘中、田無一中、田無四中で教壇に立った。プライベートでは10代から絵と詩の創作を続けており、退職した今は、一日の半分近くを筆を手に過ごす。8日㈰から22日㈰まで、同市にあるギャラリー「8cho8ma gallery」(向台町4の17の8)で、水墨画の個展を開く。
仮死状態で生まれ、死が身近な幼少期
幼少時、体が弱かった。仮死状態で生まれ、滲出性中耳炎で毎日投薬され、小学3年のときにはネフローゼ症候群に。3、4カ月の自宅療養で改善するも、再発した2年後には、医師から親が呼ばれ、「尿毒症が出たら手の施しようがない。覚悟しておいてください」との宣告まで受けた。
そんな日々で考え続けたのは「死んだらどこに行くのか」ということ。ある日、顔なじみの僧侶から「死んだらな、別に透明な丸い世界があって、そこで生きられるから大丈夫だよ」と言われ、よく分からないながらも不安が薄らいだ。
文学と美術は両輪
気持ちが落ち着くと、創作や文学に心が傾いた。「人間の生き死にの深いところに関わっている」という感覚から、特に絵と詩に親しんだ。色弱ぎみだったことから美大はあきらめ、文学を専攻。国語科の教諭になった。
絵と詩は両輪。「誰に見せるでもなく」続けてきたが、20代後半で絵画は水墨画に絞り、今は絵を描く時間が長くなっている。
「『人、墨をするにあらず。墨、人を磨く(人非磨墨、墨磨人)』という言葉がある。墨をすること自体で自分を磨いているという感覚。墨の香りを嗅ぎながら気持ちがすーっと落ち着いていくのが好きですね」
一つでも「生命」というものに触れられたら
教諭仲間の勧めで、美術展に出展し始め、以降、受賞することもしばしば。創作意欲は高まる一方だが、描くテーマは一貫して変わらない。
「山や海、自然――。子どもの頃から親しんできたそういうものが、自分の生きる根っこにある。それを描き、一つでも『生命』というものに触れられたなら、いつ息を引き取っても構わないなと思っています」
◇ちかもり・ゆうぞう 1954年高知県生まれ。中学校教諭の傍ら、詩の同人誌などを続けた。日府展にて日府賞(最高賞)、東京新聞賞、日府努力賞、日美展にて国際文化カレッジ賞の受賞歴あり。詩集に『今を生きる』がある。
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個展「愛しき生命(もの)達」は、8日から22日まで開催。正午から午後5時(22日は4時)まで。水墨画20点以上を展示。詳しくは同ギャラリー(☎042・466・9883、https://8cho8ma-gallery.jimdofree.com/)へ。
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