「親子の仲を深める方法」「スマホから始まる親子関係」
良好な親子関係でいるためのヒントを高校生の視点から伝えたい――そんな高校2年生によるユニークな自主企画講座が、8月15日㈫に西東京市谷戸公民館で開かれる。高校生から親世代に教えたい内容とはどのようなものなのか。主催する3人に話を聞いた。
東京学芸大学附属国際中等教育学校の3人が企画・プレゼン
自主企画講座「高校生の考えた親に教えたい講座 スマホから始まる親子関係」を開くのは、東京学芸大学附属国際中等教育学校に通う青山士紋さん、折井万里子さん、小西悠太朗さんの3人。青山さんと小西さんが、それぞれの企画でプレゼンをする。
青山さんのテーマは「親子の仲を深める方法」。
企画のきっかけは友人たちの反抗期。自分にはそれらしい反抗期がなかったことから、その理由を考察し、特に行動心理学の理論を元にして、親世代への提案を行う。友人たちに聞いた「親にやられて嫌なこと」のリストも提示する予定だ。
一方の小西さんのテーマは「スマホから始まる親子関係」。
4歳から約10年をシンガポールなどの外国で過ごした小西さんは、現在地元の公立校に通う弟・妹の状況を知って、日本のパソコン教育の遅れに愕然とした経験を持つ。GIGAスクール構想で生徒・児童一人ひとりにパソコン端末が配付されているが、利用の規制が強すぎて「子どもが信用されていない」と感じたという。
そこで、自身が経験してきた、親子をつなぐパソコンの活用法を発表する。
両者ともに主張したいのは「親と子が対等な関係でいること」。講座の後半では、本音をぶつけ合いたいと、参加者を交えてのディスカッションを行う。折井さんが、その進行役を務める。オンラインで、明治大学教授の諸富祥彦さん(教育心理学)も加わる予定だ。
きっかけは地域のボランティア参加
3人の講座主催の始まりは、谷戸公民館まつりへのボランティア参加。もともと学校の教育方針でボランティア参加を促されてきた3人だが、「学校経由ではなく、自分たちの力で役立てる場を探したい」と、学校近くの青少年館を突撃訪問。「それなら児童館に行ってみたら?」などと各所を紹介され、谷戸公民館にたどり着いた。
「公民館がどういうところかもよく知らなかったけど、人生経験豊富な職員の方とも出会え、縁に恵まれた」
と3人。今春の公民館まつりでは募金も担当し、2日間で5万円が集まって感激するという体験もした。
「自分の視野を広げるには、いろいろな人と触れ合うことが大事。それには、対価を求めないボランティアが一番」
と無償奉仕の魅力を語る青山さん。
折井さんも、「人と話すことでリフレッシュできる」と同意し、「私たちの講座で語り合って、少し意識が変わったらうれしい」と話す。
今回の講座は、自分たちからも発信したいとさらに活動を広げて実施するもので、高校生による自発的な主催講座は珍しい。担当する公民館専門員の上尾信也さんは「公民館では初のケース。何といっても、企画が面白い。彼らの熱意の中で、存分にやってもらいたい」と期待を寄せる。
「当日はぜひ親子で来てほしい。若者世代が公民館に集まるきっかけになれば」と小西さん。
なお、講座は15日㈫午後2時から4時まで。9日㈬5時までに要申込。定員40人で応募多数時抽選。オンラインでも30人まで参加受付中。
詳細は同館(☎042・421・3855)へ。
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なお、同公民館では3人もボランティア参加する「学習室無料開放」が9日㈬から15日㈫まで開かれる。各日先着24人まで。小学生から高校生対象。高校生たちによる学習アドバイスも受けられる。詳細は同館(前述)へ。
※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています
【取材余話】
3人と会ったちょうど2週間後にシンガポールに行く予定があったので、小西さんがシンガポールに暮していたと聞いたときにはタイミングの良さにびっくりした。取材終了後に個人的に「どこかお薦めの所を教えて」と頼むと、後日、ずいぶんと長文の丁寧なメールを送ってくれた。ポイントは幾つかあったが、特に強調されていたのがホーカー。飲食を提供する、屋台というかイートインのお店のことで、「町中にある、地元の人向けのホーカーが、驚くほどおいしかったりしますよ!」と教えてくれた。適当でも良いはずなのに、親身に教えてくれるところがさすが。そのボランティア精神は本物だと感じ入った。(谷)