「引越しをしたばかりで、友だちが全然いなかったんです。そんなときに子育てサークルを探して、見つけたのがここ。ママ友だけではなく、子どもにも友だちができて、地域での生活が楽しくなりました」
——そう話すのは「アミ・リトミック」の会員である、20代の女性。取材中も、彼女の後ろからは、大人と子どもの笑い声が絶え間なく聞こえてきます。
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「アミ・リトミック」は、音楽を聴いて音のイメージを表現したり、リズムに合わせて身体を動かす音楽教育法の「リトミック」を取り入れた子育てサークル。生後8ヶ月以上の未就園児と保護者を対象にしたもので、東久留米市にある滝山団地西集会所で活動しています。現在の会員は、全員が東久留米市在住ですが、小平市との市境が活動場所なので、小平市在住の方にもおすすめです。
サークルの発起人は、音大出身で、現在はピアノ講師として活動している中山阿佐美さん。自身も高校生と小学生の子を持つ2児の母で、サークルの会員にとっては、リトミックの代表・講師としてだけではなく、先輩ママとしても信頼される存在です。
中山さんが同サークルを立ち上げたのは、年の離れた子どもがいる友人から「子どもの友だちをつくれる場所が欲しい」という話を聞いたことがきっかけ。前々からリトミックに興味があったこともあり、音大時代に学んだ知識と技術を生かしてみようと思い立ったのだそうです。
「あとは、やっぱり小さい子どもが愛おしくて。自分の子どもはもう大きくなってしまったので、リトミックサークルを通じて、たくさんのかわいい子どもたちに出会えることが幸せです。サークル名の『アミ』は、フランス語で『友だち』という意味なので、会員のみなさんにとっても、リトミックという共通の趣味を持った友人との出会いの場になれば幸いです」
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<取材レポート>
1歳の「おすわりコロコロ」、2・3歳の「あんよでタカタカ」両コースの写真を交えてご紹介します。
まずは、出席ノートに貼るシール選び。子どもたちの目がらんらんと輝きます。
シール選びが終わったら、中山さんオリジナルの歌に合わせて「おはようございます」のあいさつ。
抑揚のある聞き応えたっぷりの紙芝居では、子どもたちがついつい前のめりに。
紙芝居に出てきた果物のイラストを見せながら、中山さんが「リンゴ♪」「バナナ♪」「オレンジ♪」「イチゴイチゴイチゴ〜〜〜♪」とリズムをつけて音読。リズムに合わせて、手づくりの紙製太鼓をタカタカと鳴らします。
大小のおにぎり(布製)を用いての、リズムの交換・強弱・音程の要素を取り入れた遊び。「これくらいの♪おべんとばこに♪」とみんなで仲良く、おにぎりづくりです。
果物やおにぎりをお腹いっぱい食べたあとは、ピアノのリズムに合わせて、早く歩いたり、遅く歩いたり。子どもたちは、そのギャップがおもしろいようでケタケタ笑っていました。
中山さんが童謡『どんぐりころころ』を歌うのに合わせて、どんぐりに見立てた小さいボールを紙コップに入れていく子どもたち。ボールを少ししか拾えなかった子には、他の子どもが「どうぞ」するなど、胸が温かくなる場面も……!
中山さんが「ビリビリ〜♪」と言うと、子どもたちがチラシを破る音が。「ビリビリビリ〜〜〜♪」と言うと、子どもたちは楽しそうに何度もチラシを破っていました。破ったチラシは「落ち葉拾い」と称して、みんなで一緒にお片づけ。
最後は、ピアノの伴奏と歌に合わせて、さよならのごあいさつ。親子ともに、にこにこ笑顔の40分でした。ちなみに、ピアノに関心が向いてリズム遊びを中断してしまった子には、中山さんが「(ピアノの)サポートメンバーになってくれるの? ありがと〜〜〜!」と、優しく対応していました。
<サークル情報>
アミ・リトミック
毎月2回、火曜日の午前中(各コース40分)に活動。
入会金2500円、月会費1500円(初回のみ無料体験あり)。
参加を希望する方は、同サークルのFacebookのメッセージやブログのコメント欄、もしくはサークル代表(080-1189-9663)まで電話かショートメールで申し込みを。
https://ja-jp.facebook.com/ami.rythmique/
ブログ
https://ameblo.jp/amirythmique/
<取材記者のコメント>
代表兼講師の中山さんは、教育番組の中から飛び出してきたようなキャラクター。明るく弾んだ声と満面の笑みは、幸福でありながらも大変な子育てに向き合うママの心を引き上げているように感じました。
小さい子どもが集まるということもあり、集会所にはマットを持参して敷いている中山さん。重たい電子ピアノを一人で運んでいることなどを考えると、本当に子どもが好きでサークルを立ち上げたのであろうということが伝わってきます。
取材を終えて集会所を出ると、先ほどまでリトミックを楽しんでいた親子の皆さんが、団地内の公園で一緒に遊んでいました。「アミリトミック」の雰囲気の良さが、サークル外の付き合いにも発展しているようです。
私には7歳と4歳の男の子がいるのですが、久しぶりに小さい子どもたちの姿を間近で見ることができて、ほんわかした気持ちになれた取材でした!
(文・石川裕二)