コンピューターゲームを活用して高齢者の健康づくりを――そんな取り組みを西東京市が今年から行っている。先月16日には、田無駅前アスタ・センターコートで開催の「介護の日」イベントで広くPR。「楽しさ」の力で、より多くの人の参加が期待されている。
イベントでは、林家久蔵さんが盛り上げに一役
「ドーン、ドン。連打で、パチパチパチパチ――」
先月16日のイベント会場でのこと。
曲に合わせて太鼓をたたくロングセラーゲーム「太鼓の達人」に市民が入れ替わりでチャレンジした。盛り上げ役を買って出たのは、落語家で西東京市PR親善大使の林家久蔵さん。久蔵さんと同じく青嵐中学校卒業生の池澤隆史市長との先輩・後輩対決の一幕もあった。
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市が「健康ゲーム」と呼ぶこの取り組みは、コンピューターゲームを介して高齢者の心身への刺激や交流を促進しようというもの。ゲームには、認知機能や感情への刺激、身体動作の促進、交流のきっかけになるなどの作用がある。全国でも施策にコンピューターゲームを取り入れる自治体は増えている。
そんななかで同市で取り組みが始まった背景には、2017年度から東京大学と連携してきたフレイル(=虚弱)予防の活動が大きい。
虚弱の入り口の一つに「社会とのつながりの喪失」があることから、市は、外出機会や交流促進のツールを模索。そこでコンピューターゲームに目を付けた。
取り組みに当たっては、ゲームの仕方の指導やスムーズな運営が必要なことから、「健康デジタル指導士」と呼ばれるサポーターを養成。現在、大学生2人を含む15人がおり、イベントで司会を務めた久蔵さんもその一人に名を連ねている。
「健康デジタル指導士はスマートフォンの指導も行える方々で、名称も役割も西東京市独自のもの。会場一体でゲームができれば全員の脳の血流が同じ働き方をすると分かっており、健康づくり、交流促進の可能性は計り知れない。『指導士』が牽引していく『西東京モデル』をぜひ確立してほしい」
と同事業をサポートする㈱プレイケアの代表・川﨑陽一さんは同市への期待を口にする。
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取り組みとしてはまだスタートして間もなく、老人クラブなどで数回実施した段階だが、ゲームにはほかに車の運転(グランツーリスモ)のものもあり、今後の広がりに期待が湧く。
「高齢者の交流では男性の参加が課題の一つですが、ゲームだと男性も参加しやすそうです。これまで集まりに来づらかった方にとって、参加のきっかけになればと思います」
と、事業を担当する高齢者支援課の田中里奈さんは話している。
詳しくは同課(☎042・420・2812)へ。