西東京市保谷こもれびホール内のカフェラウンジ「はなみずき」で、先月25日、「こども食堂 もぐもぐ」がオープンした。
公共文化施設のカフェが開放される背景には、貧困家庭への支援から広まった「子ども食堂」が、最近では地域交流の場になってきていることなどもある。
同市では、そうした社会的機能に着目し、助成事業も始めている。
保谷こもれびホールで「もぐもぐ」開始
オープン日。昼時に訪ねると、店内は活気にあふれていた。
父子、母子、知り合いの家族同士、子ども同士など訪れる人はさまざま。来場者の「子ども食堂というと、もっとこぢんまりとしたイメージだった」という言葉通り、広々とした店内は明るく開放感がある。
ベビーカーで乳児を連れていた女性は「家では泣いてばかりの子どもが、ここではうれしそうにしている。一緒に来られる場所があってありがたいです」と話していた。
同ホールの指定管理者・㈱JTBコミュニケーションデザインの芦田さんは、今回の取り組みを「公共文化施設として行う地域貢献の一つ」と話す。
「温かいご飯を提供するだけでなく、子どもにとって安心な居場所づくりをする。最初は一人で来ても、だんだん店員や周りの人と仲良くなって、交流の輪が広がっていく。そんな地域の在り方を目指しています」
コロナ禍もあってさまざまな子ども食堂が展開されるなか、公共施設の利点には、「認知度の高さ」と「入りやすさ」もあるという。
ちなみに、料金は高校生以下は無料、保護者は300円。オープンに当たっては「はなみずき」の仕入れ先などが協賛してくれたそうで、「共助の輪があるからこそできること」と芦田さんは強調する。
市から助成金も
子どもの健康づくり、食育、居場所、地域交流――。子ども食堂が持つ機能が多彩で重要なことから、最近では、さまざまな基盤整備やつながりが生まれている。
西東京市では、東京都の「子供食堂推進事業補助金」の制度を活用し、今年度から、条件を満たす市内の子ども食堂に対して月額3万円の補助金を交付。5月に開催した子ども食堂連絡会には17団体が出席した。同種の助成事業は、近隣では清瀬市でも取り組まれている。
また、情報告知に公共機関が役立つことも多く、前述の「もぐもぐ」も、オープンに際しては子ども家庭支援センターと連携して、市内の児童館や住吉会館ルピナスなどにチラシを配付した。
さらに、同市では、「西東京市子ども食堂ネットワークハピモグ」の存在もある。
2019年に有志が発足させた同団体には、現在、12団体が参加(「もぐもぐ」も加入予定)。子ども食堂をより身近に感じてもらうことを狙いに、情報発信や物資の共有などを行っている。
同団体では「毎日、市内のどこかの子ども食堂が開いている」ことを直近の目標に掲げている。
なお、同市が把握している市内の子ども食堂は19カ所。ホームページにも情報公開されている(市ホームページ)。
(取材記者・三好圭子)