レストラン+食材販売 小平駅そば「ビストリア小平」
新型コロナウイルス感染症に伴う最初の緊急事態宣言が出てからちょうど2年。特に飲食業は厳しい状況に直面してきた。そんななか、新しいスタイルの店が小平で生まれ、人気を集めている。小平駅そばの話題の店、「ビストリア小平」を訪ねた。
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「ビストリア小平」は、パスタ、ピザ、リゾットなどを提供するイタリアンレストラン。店内に約15席、店の外のスペースにも6席ほどがある。取材で訪ねた日はすぐ近くの「ルネこだいら」で催しもあり、ランチタイム後の午後2時過ぎでも来店者が途絶えないほど混み合っていた。
同店を経営しているのは、東村山市に本社を置くヨーロッパ食材問屋の㈲カワカミ。代表の川上和也さんは「この2年間は、酒屋と問屋には地獄だった」と振り返る。
2年前まで36人いた正社員は13人にまで縮小。売上高はおよそ3分の1にまで減少し、「年間で3億円ほどあったイタリアワインの売上は丸々なくなった」(川上代表)という。
そんななかでコロナ禍でも生き残れる店としてリニューアルしたのが同店だ。
「問屋が経営しているメリットを生かそうと考えた」
と、店内にはガラス製のショーケースやワイン棚を並べた。レストランで食事を楽しめるだけでなく、食品の買い物もできるという新しいスタイルだ。
「食料品店の意味の『グローサリー』と『レストラン』を掛け合わせた『グローサラント』という業態です。アメリカでは人気なのですが、国内には見本になる店がなく、試行錯誤しました」
と川上代表。
店頭では、レストランで出すワインやチーズ、総菜なども販売する。もちろん、飲食はせずに食材だけの購入が可能だ。
レストラン向けの食材問屋だけあり、一般には流通しない高級な塩など希少な品の販売も。また、ブラッドオレンジのビネガーなど、珍しい品も扱っている。
それらの食材の販売時には、使い方やおいしい食べ方などのアドバイスも行う。地域密着を重視した、顔の見える関係づくりがポイントだ。
「吟味して仕入れた食材についてしっかりお伝えできるのは、店頭に料理人がいる強みです。生産者や流通に関わる人たちの思いを伝えていけるよう、お客さまとの交流を大事にしています」(川上代表)
今後は、この店をモデルに、チェーン展開も視野に入れているそうだ。
ちなみに、店頭販売の一番人気は1・5㍑のイタリアワイン(1320円)。常連客も多く、総菜などは注文に応じて調理することも可能という。
コロナ禍で飲食店が苦戦するなか、このように地元から新しい試みも始まっている。
営業は午前11時から午後10時まで。不定休。住所は美園町1の8(小平駅南口徒歩1分、ルネこだいら並び)。
詳しくは同店(☎042・313・6111)へ。