各市で2022年度予算案の審議が始まっている。今年の取り組みを決める重要な議会になるが、北多摩各市の予算案を見比べると、今のトレンドが見えてくる。今年の傾向は、ゼロカーボンとDX(デジタルトランスフォーメーション)といえそうだ。
各市とも過去最大の規模
西東京市、東久留米市、小平市、東村山市、清瀬市の5市を見比べた。
各市とも予算規模は過去最大。どの自治体も、公共施設の改修等に伴う土木費や民生費が増えており、例えば東村山市は、一般会計で初の600億円台に達している。
脱炭素社会へ
新型コロナウイルスへの対策も依然続いており新規事業を盛り込みにくいなか、各市が取り組み出しているのが、再生エネルギーを活用した脱炭素社会の実現へのチャレンジだ。
西東京市、小平市は先月にゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにしようとうたった。西東京市では、新たな基金(地球温暖化防止対策基金)の創設や、環境問題に取り組む市民や事業者を表彰する仕組みを作る意向でいる。
東久留米市では、太陽光発電パネル・蓄電池・電気自動車・非常用発電機などから成る「庁舎非常用電源(VPP)」を設置し、平常時は効率的な電力供給をしつつ、災害時は非常用電源となるシステムを導入する。来年1月の運用開始予定だ。
清瀬市は既存のガソリン車2台を廃車とし、水素自動車と電気自動車を1台ずつ購入する。
窓口業務を効率的に
IT技術を生かして業務の効率化を図るDXの取り組みも進み出す。
特に、新市長が選挙時に公約に掲げていた小平市と東久留米市は意欲的で、小平市は議会独自のウェブ会議用端末をそろえるなど、議会のICT化に取り組む。
一方の東久留米市は、全庁のDXを横断的に統括する「行政経営課」を新規に設ける予定。また、市民課窓口のサービス向上のためにデジタル化を導入し、手書きでの書類作成を不要としていく。
デジタル利用では、東村山市の「保育所入所選考におけるAIの導入」もユニークだ。
また、清瀬市では、そもそもの使い方を指導する「シニア向け利用講座」を計画する。
その他、注目事業
全ては紹介できないので、注目される事業案を幾つか取り上げたい。
小平市は市制施行60周年に当たるとのことで、記念事業を幾つか盛り込んでいる。そのうちの一つは「(仮称)生誕150年 平櫛田中展」。近代彫刻の巨匠・平櫛も節目の年で、貴重な作品の修繕も企画している。
東村山市が計画している「公園包括管理事業」は、公民連携で公園の利便性を高めようという試み。民間事業者に市内の公園の管理を一括して任せるもので、管理のコストカットにもつながる。
西東京市は、市内に17カ所ある子ども食堂への補助を行う。開催のための食材費などの補助に加え、配食をサポートするのが特徴的だ。
また、高齢者の健康(フレイル予防事業)に関連し、デジタルを活用した℮スポーツ講座(太鼓ゲーム、運転ゲーム)の取り組みも興味深い。
※なお、これらは現段階では事業案であり、その実施は各市議会の採決による。