多摩六都科学館 10日まで「ロボットパーク」

2022年1月4日

60年前のロボットを稼働  “遺品”の相澤ロボットの初披露も 

多摩六都科学館に、貴重なロボットが常設展示されているのをご存じだろうか――。旧保谷市で約800体も作られたといわれる通称「相澤ロボット」は、1970年の大阪万博で展示されたり、台湾や上海のイベントに出展されたりと、国内外の子どもたちを魅了した。
そのうちの2体が同館にあり、現在会期中の「ロクトロボットパーク」では、期間限定の稼働や、知られていなかったロボットの初披露がされている。

 

保谷を拠点に生まれた相澤ロボット

「相澤ロボット」は、技術者の相澤次郎さん(1903年―96年)が製作指揮を執って生んだロボットのこと。

30年代から80年代までの長い期間にわたって作られ、各地のイベントに出展された。子どもたちに夢を与え、科学技術の面白さを伝えることが目的で、四角い顔に大きな丸い目など、親しみやすい姿が特徴。電力で実際に動くものもあった。

これまで現存するのは11体とされ、そのうちの2体が多摩六都科学館で常設展示されてきた。同館だけ常設展示ができているのは、相澤さんが旧保谷市に暮らした縁から。展示には破損の懸念などが付き物だが、管理する「(公財)国際医療福祉教育財団」が「地元での展示なら」と理解を示しているという。

多摩六都科学館で常設展示されている「ミスタースパーク」と、修復などにかかわる岡本正行さん

 

貴重な存在 ミスタースパーク

特に、2体のうち「ミスタースパーク」というロボットは1962(昭和37)年の製作で、塗装や部品などが当時のままで残る貴重なロボット。約100キロの重量で、立ったり座ったりができるが、その性能ゆえに転倒が心配され、あまり外に持ち出されなかったのが幸いした。
頭部には電飾が付いているが、これはクリスマスのデコレーションや、仏壇に置くイミテーションのロウソクを転用したもの。専用の部材がないなかで、創意工夫で製作されたことを今に伝える。

「ほかのロボットでは、トラックのライトやミシンのペダルなどが使われています。その工夫に驚きます」

相澤ロボットの修復に携わり、「ロボットパーク」の協力もする株式会社MANOI企画の代表・岡本正行さんはそう話し、同科学館と相澤ロボットの関係を「日本の科学技術において重要なもの」と評価する。

「今の日本の教育では、幼少時にロボットに興味を持っても、中学生になると部活や受験で途絶えてしまう。その隙間を埋められるのは、このような地域の科学館。日本の科学技術が世界から遅れ出すなか、地元にあった夢が次世代に引き継がれたら素晴らしい」

初公開となる「ロボット楽団」

 

ロボットパークでは体験型も豊富に

同科学館では例年冬季に「ロボットパーク」が企画されており、この冬も1月10日まで開かれている。

普段は行わないミスタースパークの稼働のほか、ロボットバトルやサッカーなどの体験型の展示を多数行う。
岡本さんによると「(人手がかかるため)体験型展示がこの規模で揃うことはほとんどない」そうで、ロボットの操作体験の点でも貴重な機会となりそうだ。

なお、今回、これまで知られていなかった15体セットの「ロボット楽団」が初披露されている。
これは昨年、遺族から公開されたもの。相澤さんの遺品として大事にされてきたものだそうで、一切修繕を行わずに展示されている。

入館料のみで見学・参加できるが、新型コロナウイルス感染予防のため、入室制限などが行われる場合がある。

詳しくは同館(042・469・6100 公式ホームページ)へ。

編集部おすすめ

1

弱者に優しい社会へ、情報共有を 44歳で肺腺がんステージ4と診断され、2人の子どもを育てながら闘病を続ける水戸部ゆうこさん(50)の企画で、23日㈯㈷に小平市中央公民館で、がん関連の情報を広く伝えるオ ...

2

二十四節気の立冬(7日)と小雪(22日)を迎える11月は、いよいよ冬の始まり。 二十四節気とは、1年を24の期間に分け、それぞれ季節的な特徴を表す名称をつけたものです。 すこし前のデータになりますが、 ...

3

11月23日、市民の企画で 参加者募集中 西東京市と周辺市区を舞台に、時間内にできるだけ多くのチェックポイントを回って得点を集めるイベント「西東京シティロゲイン2024」が、11月23日(土)に開かれ ...

4

ワークショップのお披露目、トークセッションも 誰もが生きやすい社会を目指して、主に映像を用いた地域交流イベントやワークショップなどを行っている「にじメディア」が、11月28日(木)から30日(土)まで ...

5

 27階建て大型ビルの工事現場に、市民の思いを 公共施設が入る予定の工事現場の仮囲いに、小平の未来のイメージ画を飾ろう――。 西武国分寺線・拝島線「小川駅」西口前で建設中の再開発ビルを巡り、 ...

Copyright© タウン通信 , 2024 All Rights Reserved.