医針伝心
土居治療院 土居望院長コラム
先月出版された、明治大学教授・水野勝之共編著『イノベーションの未来予想図ー専門家40名が提案する20年後の社会ー』(創成社)の中で、私は、「今はばかげたAI伝説であるシンギュラリティ(技術的特異点)は確実に訪れ、汎用性人工知能が誕生した時、人間の心に近い感情を持つであろう」と書いた。
東洋医学と人工知能(AI)という真逆とも思える領域から東洋医学の思考研究を行っていたからである。
AIの思考は点であり、点と点を結びつけて思考する。人間の思考は線でありその流れから思考する。つまり線の間が時に抜け落ち、多くのバイアスを含んでいるのである。脈だけで全身を診る脈診とか足つぼなどはその典型であろう。
話を戻して、小さなIC(集積回路)チップについて考えてみよう。ICチップとは、あらゆる電子機器を制御する神経系統として使われているが、その性能は開発当初の100万倍に達しているという。そして、10年、20年後には、今からまた100万倍の性能になるのである。
テクノロジーの進歩は指数関数的に向上する。つまり、技術進歩が次の技術進歩を短縮させ、イノベーションは加速されるからである。レイ・カーツワイル氏は、2029年にAIロボットは人間並みの知能となり、2045年にシンギュラリティが訪れると予測する。シンギュラリティとはAIが人間の知能を超え、人間では予測不可能な未来社会の始まりとされる。その時、あなたのそばにいるAIロボットはSFのターミネーターであろうか? アニメのドラえもんであろうか?
プロフィール
土居 望