10月30日(土)、オンラインシンポジウム「市民と考える東大農場・演習林の活かし方~みんなで考えよう! 広大な農と樹木の研究拠点~」が開催される。
主催は東大生態調和農学機構社会連携協議会(以下、社会連携協議会)で、社会連携協議会のこれまでの活動と、西東京市にある東大生態調和農学機構の地域資源としての価値を広く市民に伝えると同時に、これからの南キャンパスの持続可能な社会連携について議論するもの。
市民も参加することで豊かな街づくりに反映していくことを目的としている。
シンポジウムは2部構成となり、第1部は主に、主催の社会連携協議会の活動を振り返る。第2部は東大生態調和農学機構・市民・行政による「これからの10年でできることは?」と題したパネルディスカッションが行われる。
町中にある30ヘクタール超の農場・演習林
西東京市のほぼ中央に位置する「東大生態調和農学機構」(以下、機構)の正式名称は「東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構」で、西東京市民には「東大農場」の名称で親しまれてきた。(東大農場については本サイトでも紹介している。https://www.town-t.com/?p=14588)
機構は田無演習林を含めて30ヘクタール以上の敷地で、耕地・林地・温室・見本園などが配置され、東京大学大学院農学生命科学研究科・東京大学農学部の教育・研究の場となっている。生態系と調和できる新しい農林業を実現し、安全な農林産物の持続的供給に貢献することを目的としている。
同時に、社会連携や地域貢献の理念を掲げており、2013年に機構・市民・行政で構成される社会連携協議会が発足。以後、農と食の体験塾「大豆編」、東京大学生態調和農学機構公開セミナー「薪ストーブを生かそう」、東大田無演習林自然観察会等、市民を対象とした数々のイベントを企画してきた。
地域連携が期待される南キャンパスエリア
現在の機構は、8月2日に開通した都道、保谷東村山線によって敷地内が2分されている。北側と南側に2つのキャンパスがあり、北キャンパスは教育研究活動に専念する施設となっている。
シンポジウムのテーマとなる南キャンパスは、これまでも「ひまわり迷路」や「観桜会」、200種もの種類を誇る「ハス見本園」など一般公開され、多くの人たちに親しまれてきた。今後も、大学の研究の場としてだけでなく、セミナーや体験学習等、環境教育や社会連携の場としての活用が考えられている。
シンポジウムでは、機構のもつ研究施設、地域資源の両面に焦点を当て、その価値と意義を参加者に周知するとともに、南キャンパスの有効的な活用のあり方について議論を深めることを狙いとしている。
機構と連携協力し、シンポジウムに登壇予定である多摩六都科学館 統括マネージャー 廣澤公太郎さんは、機構で行なっている研究をもっと市民に知ってほしいと願う。
「命をつなぐ食物だけではなく、花や虫、紅葉や新緑など、人の心を癒す豊かな自然等もすべて、生態系によるものです。でも農業そのものが、生態系を破壊している事実もあります。機構では、生態系と調和した新しい農学のあり方を追究しているのです。そのような施設が西東京市にあることに価値を感じてほしい。宝物と思ってほしい。そして、この価値ある地域資源をどう活かしていくか、ぜひ一緒に考えていただきたいと思います」
と話す。
社会連携協議会メンバー、シンポジウム実行委員会 委員長の高嶋弘明さんは、
「農は地域や暮らしに関わりが多く、学ぶことで私たちができることが増えてくるでしょう。シンポジウムは機構の研究の内容を知る貴重な機会です。身近なものとしてとらえてもらうきっかけになると思います。多くの皆さんに、ぜひ参加していただきたいです」
と呼びかける。
全国で農場を持っている大学は54校あるが、西東京市のように市内の真ん中に位置するところは少なく、利便性の良さも群を抜いているとのこと。大学・市民・行政が定常的に連携していることも珍しく、シンポジウムには他の大学からも申し込みが来ている。
オンラインで80人まで
シンポジウムは、10月30日(土)13:30~16:20、オンライン(ZOOM)にて開催される。参加費は無料で先着80人となっている。
申し込みはウエブにて、10月25日まで。
https://www.isas.a.u-tokyo.ac.jp/news/detail/912
オンラインで参加できない場合は、多摩六都科学館でモニター視聴ができる(定員8名。抽選)希望者は往復葉書にて、「イベント名 開催日、氏名、住所、電話番号」を明記の上、10月18日必着で多摩六都科学館気付 東大社会連携協議会宛(〒188−0004 西東京市芝久保町5-10-64)に郵送とのこと。(入館料520円が必要。)
なお、機構の現在の公開エリアは北原交差点近くの正門すぐの広場のみとなっている。奥の立ち入り禁止エリアには絶対に入らないよう厳守してほしい。(見学等についての詳細はhttps://www.isas.a.u-tokyo.ac.jp/index.shtml)