本紙エッセー「猫耳南風」でおなじみの太宰治文学賞受賞作家・志賀泉さんが、短編集『百年の孤舟』を出版しました。
志賀さんは、福島第一原子力発電所そばの南相馬市(旧小高町)出身。
親族は今も当地におり、震災以降は、支援のために頻繁に被災地を訪ねています。旧友等、当地の人々との交流も続けており、今回の短編集では、原発事故によって生活が一変した人々の姿を生々しく描きました。
表題にもなった短編「百年の孤舟」では、志賀さん自身が故郷で最も好きな場所(作中では架空の名称)と語る浦を舞台に、原発避難を強いられた中年男性が、祖父の思い出や弟との軋轢を通して、「土地」と向き合っていく姿を描いています。
土地に根付いて生きること、「帰る場所」の重みとはどういうものかを突きつけられる一作です。
なお、短編集および、被災地となった故郷への思いは、先日、志賀さんにインタビューした記事を動画付きで公開しています。ぜひ、こちらもご覧ください。
◎「コロナ禍で考える3.11からの10年」(志賀さんインタビュー)
全4編収録。B6判、169ページ、荒蝦夷発行。1980円。ネット書店「honto」で販売中。福島県福島市出身の詩人・和合亮一さん推薦。
なお、作品の背景などについては志賀さんのブログが参考になります。
※取り扱い書店が限定されているため、同書については「タウン通信」でも注文を受け付けます。なお、送付に当たっては別途、送料を頂きます。詳しくは電話でお問い合わせください。042・497・6561