視覚障がい者らに毎月「声の情報」を届けて400回――。
2021年3月、西東京市で活動する市民団体「保谷朗読ボランティアの会」が発行する“声の情報誌”「青空手帖」が、1987年のスタートから約34年をかけて、400号を迎えました。
「青空手帖」は、新聞や雑誌の記事、エッセーなどを同会メンバーが朗読して吹き込む80分のCDです。その名称は、雑誌『暮しの手帖』をヒントにしたといいます。現在、13人の視覚障がい者らに届けています。
毎回、編集担当者を代え、時節の挨拶を入れるなど、手作り感があるのが特徴です。
「25人の会員が分担して記事を読んでいます。ボランティア活動ですが、私たちにとっても、良い勉強の場になっています」
と「青空手帖」を担当する高田千穂子さんは話します。
児童書朗読は40年
同会の発足は1976年です。地域で文庫活動をしていたメンバーが、旧保谷市に下保谷図書館(現・保谷駅前図書館)が開館したのを機に、視覚障がいのある子どものために児童書の録音テープを作り出したのがきっかけでした。
当初は、市内の子どもたちに配布するつもりでしたが、個人情報の壁で該当する子どもに届けることが叶わず、できたテープは筑波大学附属視覚特別支援学校に寄付することに。
しかしその活動は40年以上を経た現在も続いており、同校の創立120周年(1996年)の際には感謝状も贈られました。
そのように始まった同会は、ボランティア活動を中心に、高齢者施設への慰問・朗読や小学校での朗読活動などを続けてきています。
「朗読を通して役に立ちたい、という思いで続けています」
と代表の一人の新野由紀子さんは話します。
市から事業委託された時代も
「青空手帖」もその趣旨から生まれた活動で、そのきっかけは、1980年に地域で開かれた社会福祉協議会主催のバザーでした。
出会った視覚障がい者から希望を受け、市報と公民館だよりのテープ化に取り組んだのが始まりです。
その活動はやがて市に認められるところとなり、「声の広報保谷」として、市から予算が出て、事業委託されるようになりました。
それが発展して、広報以外の情報——新聞記事やエッセーなど―—を吹き込むようになったのが「青空手帖」です。
旧保谷市が西東京市に合併したときに広報の朗読は図書館の事業となり、同会に支給されていた委託費はなくなりましたが、同会では「楽しみに待っていてくれる人がいる」と活動を継続。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年の5カ月間と今年1月を除き、この34年間、毎月休むことなく発行してきました。
「400号は通過点」
そのような同会にとっては、400号も通過点の一つに過ぎないようです。
共に代表を務める松本富美子さんは
「ふと気付いたら400回。これからも変わらずに活動を続けるので、できれば多くの人に聞いてほしいです。
高齢などで読書が困難な方にもお届けできますので、ぜひご連絡ください」
と話しています。
詳しくは高田さん(042・421・3691)へ。