家族それぞれ好きなものを食べたいけれど、フードコートは混んでいるし、今は「コロナ」も心配……。
そんなことから、利用を見送ってしまいがちなフードコート。
そうした状況に対して、イオンモール東久留米が、全国に先駆けて、簡単・便利な取り組みを始めました。
スマートフォン等のアプリで注文・支払いをし、モール入り口近くで商品をまとめて受け取れるという「モバイルオーダー」です。
2月11日から4月29日までの約3カ月の予定で、実証実験を行っています。
同モールを取材しました!
正面入り口そばで複数店のメニューをまとめて手渡し
「次の方からの注文は、ケンタッキーフライドチキン、丸亀製麺のかけうどん、ガネーシャ キッチンのカレー、築地銀だこの4品。13時のご予約なので、そろそろ見える頃ですね」
正面入り口そばに設置された商品引き渡しコーナーでそう語るポーター(商品を店舗からピックアップし、注文客に手渡す係)の男性。
言葉通り、間もなく女性が現れると、保温容器から4袋を取り出し、注文を確認したうえで手渡しました。
その接客の時間はわずか30秒足らず。
「混み合う時間帯はありますが、今のところ、列になるほどお待たせしたことはないです。混みそうなときはこちらも人数を増やして対応しています」
と、ポーターの男性。
スタートから約1カ月の状況では、土日の昼と夕方が混み合うとのこと。
「ご近所の方のお夕食等でのご利用が多いのかな、という印象を持っています。基本的に店頭と同じメニューを同じ料金でお楽しみいただけるので、ぜひ積極的にご利用いただきたいです」
と話してくれました。
登録不要、簡単に利用できる
まずは実証実験として行われているこの「モバイルオーダー」は、一言でいえば、モール内のレストランの料理をワンストップで手軽に持ち帰れる、というサービスです。
利用者の目線でそのサービスを整理すると、以下のようになります。
簡単な流れ
- まずはオーダーで使用するアプリ「Putmenu®」(プットメニュー)をダウンロード
- 表示される店舗候補の中から「イオンモール東久留米」を選択
(※モールとは別に、「イオン東久留米」のページもあり) - 表示されるメニューから、注文したいメニューを選択
- メニューの選択が終了したら、カートに進み、支払いで使うカードを選択
(初回のみカード設定が必要。支払い方法はカードのみ) - 受け取り時間と場所を選択
- 受け取り時間は、現状、「00分」「30分」と30分刻みで選択できる
- 受け取り場所は、店内の正面出入口そばかドライブスルーのいずれか
(受け取り可能時間は午前11時から午後7時30分まで) -
上記で注文は完了。
指定した時刻に、指定の受け取り場所に行き、ポーターに予約番号を提示して商品を受け取る
このように簡単に利用できるシステムとなっており、会員登録などは不要です。
店頭と同じ料金で注文ができ、「モバイルオーダー」自体の利用料はかかりません。
なお、4月1日現在、利用可能の専門店は以下の17店となっています。
◎炎や・極からあげ鳥匠
◎宇都宮 黄金の華
◎おひつごはん 四六時中
◎ガネーシャ キッチン
◎ケンタッキーフライドチキン
◎さち福やカフェ
◎サーティワンアイスクリーム
◎讃州釜揚げうどん 丸亀製麺
◎ちゃんぽん亭 総本家
◎中華そば 青葉
◎築地 銀だこ
◎デザートスパーク
◎とんかつ新宿さぼてん
◎梅蘭
◎焼き鳥 日本一
◎いきなりステーキ
◎スターバックスコーヒー
テイクアウトで気になるラーメンなどは…
上記の専門店リストで一目瞭然の通り、提供できるメニューは多岐にわたります。
しかし中には、テイクアウトにはそぐわないメニューもあるような……。
そこで「ラーメンなどは、店頭と同じものを持ち帰れるのですか?」と尋ねたところ、麺類はほとんどのお店で、スープと麺を分けた形で持ち帰れるようにしているとのことでした。
帰宅後にスープを電子レンジで温め、そこに麺を入れて食べるスタイルが多いそうです。
なお、同モール内には数多くのレストラン・飲食店・食物販専門店があり、今後、モバイルオーダーへの参加店は増えていく見込みとのことです。
全国に先駆けた取り組みを、なぜ東久留米で?
ところで、地域メディアとしては見逃せない点が一つ。
全国各所にあるイオンモールですが、なぜ「東久留米」で実証実験を行うのでしょうか?
その理由を問うと……。
「多くのイオンモールは、広い商圏でやや遠方のお客さまにもご来店いただいているのですが、『東久留米』は地元のお客さまが多く、日常的に使っていただくデイリー型のモールです。
そうしたことから、料理をテイクアウトしてご自宅で楽しんでいただくことのニーズがある程度見込めます。
また、ネットで食材や日用品などをご注文いただき、まとめてお渡しするというネットスーパーのご利用者も多く、コロナ禍を受けて、駐車場の一角にドライブスルーゾーンも整備しました。
このような設備があったこともあり、東久留米で実証実験を、となったのです」
そう説明してくれたのは、同モール・ゼネラルマネージャーの中山暁さんです。
中山ゼネラルマネージャーによると、利用者は20代から50代が多く、家族での利用が目立つとのことです。
3、4店の料理を注文する人が多いそうで、中山ゼネラルマネージャーは
「それぞれが食べたいものを食べるという、本来のフードコートのニーズをテイクアウトで楽しんでいただいています。
もともとは飲食店支援から始まった企画ですが、注文のために並んだり席を探したりというご利用者様のご負担がないこともあって、『安心・安全で便利』とご好評の声をいただいています。
実証実験は4月末までの予定ですが、そこでさらに利便性を高め、その後も継続したいです」
と話してくれました。
「ニーズの高まりを実感。もっと知ってほしい!」と、3Fフードコートのカレー店
このように好評のモバイルオーダーですが、店舗のほうはどう受け止めているのでしょうか?
3階のフードコートを訪ねると、カレー店「ガネーシャ キッチン」の店長が料理仕事に追われながらも話を聞かせてくれました。
大手チェーン店が立ち並ぶなかで数少ない個店の同店は、モバイルオーダーに参加するために、メニューの写真撮影なども試行錯誤で行ってきたとのことです。
それでも、オーダーシステムの簡便性などもあり、
「参加して良かったです。ただ、こうした便利なサービスを知らない人がまだまだたくさんいます。テイクアウトのニーズが高まっているのを感じているので、今後は店頭でのPRなどにも力を入れたいですね」
とのことでした。
なお、イオンモールでは、この実証実験の結果を踏まえ、今後、首都圏のショッピングセンターを中心に、2022年2月までにエリア拡大を目指すとのことです。