手塚治虫さん原作のマンガ「ブラック・ジャック」の登場キャラクターをモチーフにしたデザインマンホール蓋が、東久留米市内5カ所に登場します。
市制施行50周年を記念した事業で、手塚さんが1980年から約10年を同市で過ごした縁から実現するものです。
設置されるマンホール蓋は、5枚それぞれ独自のデザインで、主人公のブラック・ジャックのほか、助手のピノコ、ライバル医師のドクター・キリコが描かれています。
「ブラック・ジャック」というと、無免許医師で高額報酬を請求するなどダークな一面もあり、自治体の記念事業としては賛否両論がありそうですが、同キャラクターが選ばれたのには幾つか理由があったそうです。
特に大きな理由は、「ブラック・ジャック」によって手塚さん自身が窮地を乗り切り、同市内に住まいを構えたことです。
手塚さんは一時期、経営するプロダクションの倒産などで多額の借金を背負い、活動も低迷しましたが、同作のヒットをきっかけに復活して東久留米市に暮らすようになりました。
そうした経緯から、作品中に東久留米が描かれているわけではないですが、市の担当者によると「東久留米と縁の深い作品といえる」とのことです。
また、市制施行50周年に当たる2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大で、医療従事者への関心も高まった年でした。
そうしたことから、“名医”のブラック・ジャックにあやかろうという思いもあったとのことです。
「七福神めぐり」ルートを中心に、市内5カ所に設置
設置される場所については、まず3カ所は、同市で例年1月に行われている「七福神めぐり」のルートに合わせて選択されました。
市役所前には「ブラック・ジャック」、東部地域センター前に「ブラック・ジャック&ドクター・キリコ」、生涯学習センター付近に「ピノコ」のデザインマンホールが設置されます。
さらに2カ所は、市域のバランスを考慮しつつ、商店会近くに設置されます(滝山中央名店会付近に「ブラック・ジャック&ピノコ」、まえさわ小町商店会付近に「ブラック・ジャック」)。
設置は、悪天候などでなければ、2月24日、25日に実施予定とのことです。
並木克巳市長は、
「私自身、手塚治虫先生の作品を読んで育った世代であり、市民にとって誇りでもある手塚治虫先生の作品から『ブラック・ジャック』を活用させていただくことについて、大変喜ばしく思っています。
本事業を今後の観光振興、地域振興に結び付けたいと考えています」
とコメントしています。
地域振興を目的にしたデザインマンホールの設置は全国で盛んに行われており、東久留米市では2020年1月に、市のマスコット・キャラクターの「るるめちゃん」のデザインマンホールを東久留米駅前など市内4カ所に設置しています(「るるめちゃん」マンホールを設置)。
デザインマンホールを巡る愛好家などの来訪があったそうで、市の担当者によると、ブラック・ジャックのデザインマンホールについては「緊急事態宣言が終わったら、絶対見に行く」などとSNS上で盛り上がりがみられるとのことです。
なお、市制施行50周年記念事業ですが、市では、2021年度以降も継続して、「ブラック・ジャック」を活用した事業を実施していきたいとのことです。
デザインマンホールは特殊塗料で施工されていますが、劣化などが見られた場合は撤去となる可能性もあるそうで、市では、「できるだけ長く市の名物としていけるように、みんなで大切にしていってほしい」と訴えています。
なお、「ブラック・ジャック」については、東久留米駅西口に銅像も建立予定です。