任期満了に伴う小平市長選挙が4月4日(日)投開票で実施されるのを前に、小平市議会議員で現在、議長を務める磯山りょうさんが、立候補を表明しました。
磯山議長は、愛知県尾張旭市出身の41歳。早稲田大学在学中に現・衆議院議員の松本洋平議員の選挙を手伝ったのを機に政治の道を志し、松本議員の秘書を経て、2011年に小平市議会議員に初当選。現在、3期目。2019年から議長を務めています。
1月29日には、地元選出の都議会議員・高橋信博議員の事務所で記者会見が開かれました。
その模様を、3分30秒ほどの動画に編集しました。まずは、決意表明などをご覧ください。
発言の詳細は、下記に記事でまとめています。
動画(3分26秒)
2つのステージに分けて考えたい
小平市議会で同じ会派(政和会)に属する松岡篤議員の司会で開かれた記者会見では、冒頭、磯山議長が「市政運営については、新型コロナウイルスを乗り越え、終息までのステージと、終息後のステージの2つのステージに分けて考えている」とあいさつ。
以下のように語りました。
「まず、『コロナ』を乗り越え、終息に至るまでですが、このステージで最も大事なことは、市民の暮らしと命を守ることです。
ところが、現市政では、『コロナ』対策として適切とは思えないものが散見します。
特に問題に思うのは、市庁舎等のエレベーター改修に約1億8000万円弱を投じるなど、10億円配分された地方創生臨時交付金の多くを公共施設のハード整備に当てたことです。
『コロナ』が終息するまでは、まずは市民生活、市内経済を守ることを第一に考えるべきです。
私は、不要不急のハード整備ではなく、困窮する市民、不安を抱える事業者に寄り添い、市民の暮らしと命を守るための市政運営をしたいと考えています。
また小平市は『コロナ』対策の基本方針を定めていません。
私は、市の『コロナ』対策の考え方を市民にしっかりと示し、意識、方向性を共有したうえで、市民と一丸になってコロナ禍を乗り越えたいと思っています」
「小平をもっと良くする」
「『コロナ』終息後については、私は『小平をもっと良くする』という精神のもと、未来に対して前向きなマインドで取り組んでいきたいと考えています。
人口推計をみると、今後、人口は減少し、財政状況も厳しくなることが想定されていますが、悲観する必要はありません。未来はいまの積み重ねで変えることができます。
そこで、市民と共有するビジョンとして『プラチナ田園都市構想』を掲げていく考えでいます。
小平市の魅力である緑と、都市としての利便性を基本に、デジタルテクノロジーを活かした施策の実施や、次世代育成の観点から、子育てや教育に力を注ぎます。
誰もが住み続けたい、そんなまちを目指したいと考えています」
コロナ後の「プラチナ田園都市構想」とは?
このように「プラチナ田園都市構想」なる未来像を提示したうえで、その中身について具体的に言及しました。
磯山議長の掲げた同構想は、田園、都市、デジタル、プラチナの4つの分類で計画されています。
以下、項目別に説明がありました。
田園について
「豊かな緑、都市農業をしっかり守ります。
食育の観点から、学校給食の地産地消日本一を目指します。
また、市民の意見を反映した都市計画公園の整備を検討したいと思っています」
都市について
「快適な住宅都市としての機能を充実させるために、西武線の立体交差化や、小川駅、小平駅の駅前再開発、一橋学園駅前の再整備などを、市民の意見をうかがいながら取り組みます。
また、介護予防、フレイル予防に力を入れるとともに、高齢者が安心して暮らせる地域包括ケアシステムの充実を図ります」
デジタルについて
「デジタルDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル活用による社会変革)を革新的に進め、多摩26市の中でモデルといわれるような小平市に変革を遂げたいと思っています。
そのために専門官を配置して組織体制を整え、分野を横断した施策の展開をはかりたいと考えています」
プラチナについて
「『プラチナ』は、教育や文化、子育てなどです。
教育については、早急に小中学校の体育館へのエアコン設置をします。
また、ギガスクール構想を進めるうえでのハード、ソフト両面での支援を行います。
さらに、35人学級への速やかな移行を進めるなど、教育環境を整備していきます。
同時に、家庭環境や児童・生徒の個性、特性に合わせたきめ細やかな教育ができるよう、支援体制の拡充に努めます。
子育てについては、まずは待機児童解消に向けた対応です。
また、義務教育就学児医療費助成制度の所得制限の段階的撤廃なども進めていきたいと考えています。
文化、スポーツについては、ルネこだいら、平櫛田中彫刻美術館、多摩六都科学館、ふれあい下水道館などの小平市が誇る施設のさらなる活用や、FC東京、ブリヂストンといった地元企業との連携をさらに深め、文化・芸術・スポーツの振興に力を入れてまいります。
またe-スポーツやアナログゲームなどにも触れる機会を創出したいと考えています」
持続可能な財政運営に向けて
さらに磯山議長は、行財政運営について方針を口にしました。
「不確実性が増す今後、財政的にはいっそう厳しくなることが想定されています。そのようななか、持続可能な財政運営をしていきたいと考えています。
コロナの影響を受け、各種事業のスケジュールの見直しなども必要になってくると思いますが、その際には市民の皆様と話し合いを十分にしていくつもりです。
財源の確保については、ふるさと納税やクラウドファンディングなどを活用し、積極的に行っていきたいと考えています」
現在の小林正則市政への評価
このように語った磯山議長は、「最後に」と切り出し、現在の小林正則市政についての評価を発言しました。
「『公開・参加・協働・自治』のスローガンのもと、小林市政で市民参加が進んだといわれますが、その点については一定の評価をしています。
私はそれをさらに一歩進め、市民とともに作っていくという『共創』の視点を重視したいと考えています。
一方で、問題点、積み残された課題もありました。
まず、小中学校の体育館のエアコンはいまだに設置されていません。
また、多選自粛宣言をしながらの4期16年。さらに、参加・協働・自治といいつつも、コロナ対策では、地方分権・地方自治とはかけ離れた矛盾もあったと思っています。
行き過ぎた緊縮財政は民間の活力を奪い、町の発展の遅れにつながったとも思います。
現在の小平市政は、16年にわたる長期政権の弊害として、マンネリ化、閉塞感があります。
こういった問題があるなかで小平をもっと良くしていくには、2つ必要なことがあると考えています。
一つは、国、東京都、近隣市と連携していくこと。
もう一つは、新しい政権の枠組みのもとでの大胆な発想ができる新しいリーダーが必要ということです。
私は、今までの既定路線である緊縮財政、衰退前提路線から脱却し、未来思考にマインドをチェンジして参ります。
『いつまでも住み続けたい町・小平市』『小平はもっと良くなる』を合い言葉に、市民の皆さまと共に作っていきたいと考えています」
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磯山議長は、無所属で立候補。自民党推薦。ほか、政党推薦については調整中とのこと。市議会議員は辞職方向で調整中。時期は未定。
なお、同選挙に向けては同市議会の小林洋子議員が立候補を表明しており、小林市政を引き継ぎたいとしています。
市議補選に外山まなみさん
この記者会見の場では、同日に実施される小平市議会議員補欠選挙に立候補予定の外山まなみさんも、報道陣に紹介されました。
外山さんは、小平市議を9期務めた父・鴨打きくおさんの補佐をした経験があり、現在、自民党地区政策委員を務めています。
2人の子を持つ母でもあり、政策として、第2子以降への支援拡充、出産育児一時金の増額など、子育て・教育分野の充実などを打ち出しています。
また、介護経験をもとに、地域包括ケアシステムの強化なども重視しているとのことです。