新型コロナウイルスの感染者が増加し続けるなか、当然ながら、各市の公共施設などでも感染者が出ています。
「タウン通信」にも各市から感染者の情報が送られてきますが、西東京市の小中学校の情報を見ていて、ふと気になったことがありました。そのつど、臨時休校をしていることです。
1日だけ休校しているのですが、意味があるのでしょうか?
そんな素朴な疑問を、西東京市教育委員会に尋ねてみました。
他施設には見られない「臨時休校」
まずは西東京市から送られてきた、新型コロナウイルス感染者に関する情報を以下にまとめます。この1カ月のデータです。
(※西東京市から報道関係者に情報リリースのあったもののみ。
なお、タウン通信では、新型コロナウイルスの感染者情報については個別の報道はしていません。下記は例外として主要情報を抜粋します)
[11月20日報道資料]
市内市立中学校生徒の新型コロナウイルス感染について
〈主な内容〉
10代、男性、1人。
11月19日(木)最終登校。20日(金)発熱。PCR検査で陽性判明。
当該学校は20日(金)から23日(月、祝)まで部活動・学校開放等を中止。校内消毒。24日から通常登校。
[11月27日報道資料]
市内市立小学校給食調理員の新型コロナウイルスの感染について
〈主な内容〉
市立小学校で給食調理業務を行っている20代、女性、1人。
11月25日(水)最終出勤。帰宅後に発熱。26日(木)にPCR検査で陽性判明。
26日に調理室の消毒を行ったうえで、27日(金)から通常通り給食提供
[11月30日報道資料]
市立スポーツ施設職員の新型コロナウイルスの感染について
〈主な内容〉
40代、女性、1人。
11月20日(金)最終出勤日。27日(金)PCR検査を受診、30日(月)陽性が判明。
濃厚接触者はなく、施設は通常通り営業を続ける
[12月1日報道資料]
市内市立中学校生徒の新型コロナウイルスの感染について
〈主な内容〉
10代、男性、1人。
11月27日(金)最終登校日。30日(月)発熱、PCR検査。12月1日(火)陽性判明。
当該学校は12月2日(水)は臨時休業。消毒等実施。
[12月17日報道資料]
市内地域包括支援センター職員の新型コロナウイルスの感染について
〈主な内容〉
50代、女性、1人。
12月15日(火)最終出勤、発熱。PCR検査。16日(水)陽性が判明。
[12月17日報道資料]
市内市立小学校児童の新型コロナウイルスの感染について
〈主な内容〉
10歳未満、男性、1人。
12月11日(金)最終登校日、17日(木)PCR検査、陽性判明。
当該学校は18日(金)は臨時休業。消毒等。
[12月20日報道資料]
市内市立小学校児童の新型コロナウイルスの感染について
〈主な内容〉
10代、男性、1人。
12月16日(水)最終登校、17日(木)PCR検査、19日(土)陽性判明。
当該学校は21日(月)は臨時休業。消毒等。
この7つの事例を見ると、児童・生徒の陽性が判明したケースでは臨時休業措置などが取られているのに対して、成人のケースでは特にそうした対応は取られていないのが分かります。
11月20日以前の情報でも、状況は同じです。
上記では、学校に出入りした給食調理員の感染でも休業とはなっておらず、児童・生徒の感染時の対応との差異が際立ちます。
1週間後の休みに意味があるのか
上記の中で、特に当サイトが注目したのが[12月17日報道資料]のケースです。
この児童の場合、最終登校日は12月11日(金)。土日を挟み、月から木まで学校を休んでいたことになります。
そして、感染が判明したのは17日(木)。翌18日(金)は学校が臨時休校となりました。
当該の児童は1週間学校に来ていなかったわけですが、それにもかかわらず、土日を前にした18日(金)を休校にする必要があったのでしょうか。
むろん、何か特殊な事情があったことも考えられます。そこで一旦は当サイトも疑問を保留したのですが、間もなく状況が似ている[12月20日報道資料]が来たため、直接、市教育委員会に質問することにしました。このケースの当該児童の最終登校は水曜日ですが、5日後の21日(月)が休校になっています。
臨時休校は、安心して児童・生徒を迎えるため
担当課に電話をし、まずは、臨時休校の判断は何を根拠に行っているのかを確認しました。保健所の指導かを尋ねたわけですが、回答は市教育委員会の判断とのことでした。
「小平保健所は濃厚接触者等の調査を行っていますが、これまでのところ、濃厚接触者が多数いるという状況はないため、保健所から臨時休校の指示が出たことはありません。
また、感染者が出たら何日休校するというような規定もありません。
これまでの対応は、すべて市教育委員会が個別に判断し、市の対策本部に上げて、そこで最終決定をしています」(担当職員)
となると気になるのは、どういう判断で臨時休校を決めたのかになりますが、これについては「消毒のため」とのことでした。
「他施設では感染者が出ても休業するところまではしていないが?」と尋ねたところ、以下のような回答がありました。
「施設にもよるとは思いますが、多くのところは行動を後から追いかけることができます。特定エリアを念入りに消毒するなどの対応が可能ですが、学校はさまざまな児童・生徒が入り交じるところであり、詳細まで追いかけるのは難しいです。
慎重に対応したいという思いもあり、臨時休校して消毒を行っています。休校は、消毒のためです」(担当職員)
では、その消毒とはどのように行っているのでしょうか。
「業者に依頼するというような特別なことはできませんが、学校教諭が広範囲かつ丁寧に、拭き掃除からアルコール消毒などまで行っています。もちろん、普段から教諭が消毒作業を行っているのですが、臨時休校をする場合は、児童・生徒がいないなかで、時間をかけて丁寧に作業することができます」(担当職員)
―—というわけで、臨時休校は教職員による念入りな消毒のため、ということがはっきり分かったわけですが、一つ聞かなければならないのが、「1週間もたっての作業に意味があるのか」という点です。
これについては「その指摘は保護者からも寄せられている」と前置きしつつ、PCR検査ですぐに結果が出るとは限らないため、どうしてもタイムラグが出てしまう、とのことでした。
確かに経過を見ると、12月20日公表のケースでは、17日(木)にPCR検査をし、その結果が19日土曜日に出ています。となると、教職員による消毒作業のために月曜を臨時休校する、というのは自然な対応となっています。
* * *
さて、問題は、このような対応を継続していくのは困難ということでしょう。
一時的なことならともかく、断続的に続くとすれば、現場の教職員にも家庭にも、負担が大きくなります。
コロナ禍が長引くようであれば、GIGAスクール構想がいっそう加速していくことになりそうです。
なお、西東京市教育委員会によると、冬期休暇中の大規模な消毒作業等は予定されていないとのことです。原則として部活動を休止し、冬期休暇中は学校への出入りを最小限に抑えるとのことです。