「家族のための成人式」をご存じでしょうか。
文字通り「家族で成人式を祝おう」というセレモニーで、着物の製造・販売を行う「いつ和」の呼びかけのもと、2016年から関東を中心に広まり出し、年々、体験者が増えています。
「家族のための成人式」は個別の実施も可能ですが、12月12日(土)と13日(日)に小平市ルネこだいらで、振り袖の展示会を兼ねたセレモニー会が開かれたので、のぞいてみました。
(当日の様子を動画でまとめています)
動画(1分16秒)
撮影と感謝状交換で30分 2日で18組が参加
この日は、小平駅そばにある、いつ和グループの販売店「成人式サロンKiRARAルネこだいら駅前店」が中心になって式典を開催。
新成人が晴れ着を着用し、さまざまなポーズで写真撮影。その後、新成人から家族への感謝状、家族から新成人への思いを互いに読み合い、最後に、「感謝状」と「巣立ち証書」を交換し合って終了となります。
1組ずつ行われ、その間約30分。感謝状のシーンでは涙をぬぐう両親の姿が見られました。
セレモニーを終えたばかりのYさん一家にお話を伺うことができました。
まずは終えた感想から。新成人のご本人(女性)は―—。
「家族に感謝を伝えることはふだんの生活ではないので、よい機会をもらえたと思っています。プロの方にメイクしていただき、振り袖を着て、さまざまなポーズで写真を撮っていただいたのもうれしかったです」
とのこと。
対して、お母さまは、
「最初はただの写真撮影会だと思って申し込んだのですが、こんなセレモニーになっていて驚きました。でも、普通の成人式だと、振り袖姿が少し見られるだけで、送り出して終わってしまう。少し恥ずかしかったですが、やってみて良かったです」
と話してくださいました。
一方で、お父さまは、セレモニーだったことにびっくりのご様子。
「『付いてきて』というぐらいの話だったので、まさかこんなことになるとは。ちゃんと演出していただいて、感動しました」
とのことでした。
ご本人は、「地域の成人式と今日の『家族のための成人式』は別のものと考えています。家族でできた今日の式もうれしかったですし、1月の成人式で友達と会えるのも楽しみです」と話します。
そんなお子さんの様子を見ながらお母さまは、「私の時代はこのような企画はなかったですが、私も親に感謝を伝えておけば良かったな、と思いますね」と話してくださいました。
小平では、この両日でのべ18組が「家族のための成人式」に参加したのとことです。
「形だけではない成人式を」 企画担当者に聞く
なぜこのような「成人式」が取り組まれているのでしょうか。
企画を担当する「いつ和」のアニバーサリー事業部コンサルタント・中西昌文さんに話を聞けました。
——「家族のための成人式」に取り組む狙いを聞かせてください。
中西さん「成人式は全国で100万人もの人が参加する一大イベントですが、当社が着物の製造・販売を通してさまざまな新成人たちと接するなかで見えてきたのは、『形だけの式典になっているのでは?』という疑問でした。
そこで成人式の意味を見直してみたところ、新成人への思いをいちばん強く持っているのは親御さんを始めとした家族だと改めて気付いたのです。
そこで、自治体の成人式は社会の一員として認められる場とし、私たちは民間の立場から、『家族で祝う』という新しいスタイルの『成人式』を提案することにしました」
——具体的にはどのような式典になりますか。
中西さん「新成人と親御さま両者からお手紙を書いていただき、ご本人が読んだり、司会が代読して、感謝を伝え合う場にしていただいています。
もちろん私たちは着物メーカー・販売店ですから、着物をご着用いただき、立派なお姿を写真で残すことも重視しています」
——スタートから4年ほどですが、手応えはいかがですか。
中西さん「よく言われるのが、『こんなふうに感謝を伝えられる場はほかにないので、やって良かった』というものです。
これは個人的な見解ですが、その意味では、男性の新成人にこそご参加いただきたいなと思っています。
実はこれまでのご参加者は9割が女性なのですが、家族への感謝の思いというのは、女性以上に男性のほうが口にしないものです。この機会をぜひ活用してほしいです」
——式典は、やはり1月前後に実施しているのですか?
中西さん「いえ、通年で行っています。最近は写真の前撮りは一般的になっていますし、『空いているから』と夏場を選ぶ方も少なくありません。よくあるケースは、お誕生日の前後に行うものですね」
なお、北多摩エリアでは、先述の「成人式サロンKiRARA ルネこだいら駅前店」で随時受け付けしています。
詳しくは同店(公式サイトはこちら)へ。