在宅診療NOW
まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム
まつばらホームクリニックの訪問看護認定看護師.齋藤雅子です。
今回は排便についてです。
便秘や下痢、排便困難でお悩みの方がいらっしゃいます。
「毎日出ないとスッキリしない」「オムツを開くたびに便が出ている」「便が出にくくてトイレに20分座っている」などです。
Aさんは90代の女性。医師が処方した下剤を服用しても、訪問看護師が浣腸しても、1週間、便が出ません。
ご家族は、便が出てないのに食べさせたらお腹が苦しくなるだろうと、食事量を減らしていました。
そこで十分な量を食べるようにしてもらったところ、便が出ました。
Bさんは90代の男性。便が硬くて出なくて大声を出したり、落ち着かなくなることがたびたびありました。
下剤を増やしても、いきむ力が弱く出せません。
そこで看護師が定期的に訪問して、浣腸と便を掻き出す処置を行うようにしました。
それから、水分を1日1リットルを目指して飲むよう促しました。すると、便で苦しむことがなくなり、介護している奥様も安心して過ごされるようになりました。
Cさんは80代の男性。便秘をしていたため、市販の下剤を飲んだところ、下痢便が出続けているとのことでした。
直腸内を触診すると、便がソフトボールのように固まっていました。腸と便の塊の隙間を縫って、下剤で緩くなった水のような便が出ていました。
便の塊を出すと、溜まっていた便がたくさん出て、水様便も止まりました。
食事量や水分摂取量、運動量、加齢による腸内の善玉菌の減少により、便は出にくくなります。あるいは、下痢だと思っていても、実は便秘ということもあります。
また便がスムーズに出ると、認知症の方の体調や気持ちが落ち着く傾向があります。
排便で困ったときは、訪問看護師にご相談ください。
(まつばらホームクリニック・訪問看護認定看護師 齋藤雅子)