9月から検査を実施する「田無病院」丸山道生院長に聞く
小指1本分の血液で複数のがんリスクが分かるという「MB(メタロ・バランス)検査が、西東京市の田無病院で9月から行われています。簡便な検査で興味深いですが、どのような特長があるのでしょうか? 田無病院の丸山道生院長にお聞きしました。
――まずMB検査について教えてください。
「血液中の亜鉛やマグネシウムなど17種の金属元素の濃度バランスを測定して、その結果から採血時点でのがんに罹患している可能性(がんリスク)を判別するまったく新しい検査法です。
千葉県がんセンター、神奈川県立がんセンター、ヘルスケアベンチャー・レナテックの三者の共同研究により昨年実用化されたもので、既に全国で1万5000人以上が受けていると聞いています」
――どのような特長があるのでしょうか?
「最大の特長は早期がんへ対応している点ではないでしょうか。
従来のX線など画像による検診では発見が難しいとされる5ミリ未満のがんも判別が可能とのことで、早期発見・早期治療という流れに則したものといえるでしょう。
そして1回の採血で男性で6部位(大腸・胃・肺・すい臓・肝臓・前立腺)、女性で9部位(大腸・胃・肺・すい臓・肝臓・乳・子宮頸・子宮体・卵巣)のがんリスクをA~Dの4段階で個別に判別できる点も注目してよいと思います」
――MB検査だけで、がん検診は万全ですか?
「MB検査はがん患者さんの血液と比較して、このくらい似ているとこのくらいの確率でがんが見つかるグループに属していますよ、ということを教えてくれる検査です。
あくまでも警戒注意報を出す検査であり、がんの発症を確定するものではありません。
さらに血液には長年の食習慣等による想定外の個別性が考えられますので、検査を受ける方がMB検査では想定していない個別性をお持ちだった場合は、検査結果も期待はずれのものとなる可能性が理論上考えられます。
よって当院としては、MB検査で早期がんを打ち取り、画像検査を中心とした従来のがん検診で漏れたものをカバーすることで、より良いがん検診体制をすすめていきたいと考えています」
――この地域では田無病院が率先して採用したと聞いています。
「当院でもがん検診に力を入れてきていましたが、なかなか受診率が上がらないのが実情です。
一方で、長寿化や食生活の変化もあり、よく言われるように『2人に1人』が、がんにかかる時代です。
特に大腸がん、乳がん、すい臓がんが増えてきていること、発症年齢も下がってきていることが気になります。
このようにがん発症者が増えてきている一方で、検診の受診率が上がらないのは、従来のがん検診に対する身体的・精神的負担感があるためです。そこを何とか軽減できないかと思っていたところMB検査に出会いました。
病院での所要時間は採血だけなので15分程。検査結果は1カ月程度で郵送される手軽な検査ですので、ぜひ地域の多くの方に受けに来ていただきたいと思っています」
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MB検査は月・水・土 曜日午前中に実施。
検査料は1万5000円(税別)で完全予約制。予約はWEB(「メタロバランス」)からか電話でレナテック(0120・785・602)へ。
◎田無病院