街かど診療室
保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム
今回は、眼科のみでなく全ての科に共通する話題です。
最近、子どもがオススメの動画を見せてくれました。海外の曲で、「Never Google Your Symptoms」という題名です。その題名を見ただけで、笑いました。そして曲を聴いてみたら、まさに予想した内容でした。インターネットで調べると空恐ろしくなる経験を持っている方もいると思いますが、その内容の一部を書き出していきます。
「咳、診断」とググれば(ネットで調べれば)、お前は結核だと言われる
「熱、赤い」とググれば「エボラ熱だ、御愁傷様」と言われる
「ちょっと貧血気味」「白血病だよ」
「左腕が痛い」「それは心臓発作だ」などなど とてもシュールでコミカルに歌っていました。
「こんな調子だから、体調不良は絶対ググるな」を繰り返し歌います。
私たち医師は、学生時代に全ての科の勉強をしています。1年間で30~40のテスト(各テストの範囲は教科書1冊分)を4年間、1年間は病院実習、残りで国家試験対策などの総合テストを山盛りやって、今でも夢に出てきますが、その頃は、勉強する病気が全て自分に当てはまるような錯覚に陥り、特に特殊な病気に既に罹患していると思い込んだ時期もありました。
インターネットで便利な世の中になりましたが、それに振り回される側の人間も多いです。口コミと称したネガティブキャンペーン、または利益誘導も多い世の中です。見極めることが大事とも言われますが、こと自分の症状を調べると、当てはまる、当てはまる……という感じで青い顔でクリニックに訪れてくる患者さん、または悲壮な顔で付き添ってくる家族。診察後、病状を説明しても、「でも、でも、調べたら失明すると書いていた」と言い、ネットでの診断に基づいた説明を求める人がいるときもあります。
【ネット診断(AI診断ではない)】>>【医師の診断】に陥ったらどこに行っても同じで救いようがありません。「こんな調子だから、体調不良は絶対ググるな」という歌はある程度の真理をついていますが、ググることが参考程度であれば問題ないでしょう。
プロフィール
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保谷伊藤眼科
大学病院のような高度医療を地域でも 都道「保谷調布線」沿いにある西東京市の「保谷伊藤眼科」は、地域のクリニックでありながら、高度医療を提供している眼科医院です。 昭和大学病院医学部の眼科学で講師を務め ...
伊藤 勇