新しい企画を始めるときに、かなり頭をひねるのがコーナー名。今号では「西武ライオンズ・広報だより」をスタートしているが、これはかなりの正攻法。最近では、主催イベントで「スッキリセミナー」と打ち出し、割とすぐに広まった。
産みの苦しみが分かるだけに、他社のコーナー名は注視しているが、過去に、「これはすごい……」と打ちのめされたコーナー名がある。他ならぬ、私も勤務した「東興通信」(2008年までこのエリアで発行)の「売ります・買います」欄だ。
あまり知られていないが、実はあの人気コーナーには、「茶の間情報」というコーナー名が付いていた。
売ります・買いますや、働きますといった個人発の広告を、専門的にはクラシファイドという。タウン紙の得意とする分野だが、「茶の間情報」というのは、そうした個人の肩肘張らない情報発信、あるいは受信を、的確に表現し、かつイメージの広がりを持っている。
――と、なんでこんな話をするかというと、先日驚いたことがあるからだ。
ある晩、小学5年の息子が、「来週、和菓子を買って帰ってきて」と言ってきた。
「和菓子? 何で?」と問うと、「学校で使うから」と息子。
「学校で? 何に?」
重ねて聞くと、「ダンランだよ」という。
ダンラン? そう、団欒だ。
家庭科の授業で団欒体験をするそうで、そのために和菓子を持参するのだという。
確かにさまざまな家庭がある時代ではあるが、それにしても団欒を授業で教えるとは。
もはや今の子どもたちには、「茶の間情報」のネーミングがいかにすごいかなど、絶対に理解されないだろう。
(2019年3月20日号・本紙掲載分から転載)
株式会社タウン通信代表取締役。地域紙「タウン通信」を多摩北部で約10万部発行、ウェブサイトでも地域情報を発信する。著書に
『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、
『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、
『起業家という生き方』(同、共著)、
『スポーツで働く』(同、共著)、
『市役所で働く人たち』(同)がある。
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谷 隆一