会社経営をしていると、詐欺なのか営業なのか、よく分からない電話にたまに出くわす。
先月初めに来た電話は「トルコリラを今500万円買えば、4月10日までに3500万円にします」という証券会社からの誘い。「金がない」と断ると、「100万円お預かりできれば、700万円にします」ときた。倍率が変わらないなら、そりゃそうだろう。
「トルコで統一地方選挙があって、トルコリラが上がるんです」
電話を切られまいとするためか、話の端折り方がすごい。
「それじゃあ、4月の結果を楽しみに見ますよ」
と丁寧に電話を切ったが、ここからが面倒だった。
3日もしないで再び電話があり、「買う気になったか?」と聞いてくる。「買う気はないと答えたはずだよ」と答えると、一旦は電話を切り、さらに3日後にかかってきた。かけるタイミングがマニュアル化されているのだろうか。
当社も電話営業をするので、できるだけ丁寧に対応しようと思っているのだが、さすがにこれはしつこい。
「ちゃんと話を聞いたうえで断っているのだから、これ以上は迷惑ですよ。二度とかけないでください」
ところがだ。翌週、しかも朝一番でかかってきた。これには猛烈に頭に来て、「何でかけてくるんだよ!」と抗議すると、驚くことに「儲かるからです」と自信満々にいう。これはもう、詐欺じゃないの?
――というわけで、この号の発行日が時限の10日。何となく結果が気になるが、チェックしたら負けだという気もしている。
(2019年4月10日号・本紙掲載分から転載)
株式会社タウン通信代表取締役。地域紙「タウン通信」を多摩北部で約10万部発行、ウェブサイトでも地域情報を発信する。著書に
『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、
『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、
『起業家という生き方』(同、共著)、
『スポーツで働く』(同、共著)、
『市役所で働く人たち』(同)がある。
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谷 隆一