新型コロナウイルスの対応は、何が正しいのかよく分からない。
集団感染している例があるのを見ると、なるほど、小中学校や公民館・市民ホール等の休校・休館は適切な判断だったようにも思える。一方で、私の住む自治体では小学校の卒業式への保護者参加を不可としており、小学6年生の子を持つ親としては「それはやりすぎでは……」と言いたくもなる。
何をしてもいろいろな意見はあるもので、対応する関係者はさぞ難しい判断を日々迫られていることだろう。まずはその労をねぎらいたい。
で、本題はここから。
人命にかかわることだけにその対応の難しさはよく分かるのだが、「これは見過ごしてはいけないのではないか」と思ったことがあるので、書き留めておきたい。各市議会の傍聴に関してだ。
2月・3月は次年度の予算を決める大事な定例会が各自治体で開かれるものだが、今年は多くの自治体がその期間を短縮するなどしている。まあ、それはやむを得まい。首長や職員がいま力を注ぐのは、議会対応ではないだろう。
私が問題に思うのは、それでも開かれている議会に関して、傍聴の自粛を求める自治体があることだ(この地元の自治体もしかり)。
ウイルス感染拡大を防ぐためで、その趣旨はよく分かる。しかし、たとえそうでも、議会自体がそれを訴えてはいけないのではないか。非常時とはいえ前例ができてしまうし、訴えとしては、自粛ではなく、人数制限(例えば5人までなど)などに向かうべきのように思う。
ネット中継している、議事録で確認できる――といった主張はもちろん承知している。しかし最も重要なことは、チェックできるという機会の保障ではなく、その場に立ち会えるという市民の権利を守ることだろう。ネットで中継しているから傍聴席を閉じてもいいというなら、それは平時においても適用できてしまう。
蛇足ながら、多摩北部5市の中では、清瀬市議会の対応に好感を持った。ホームページでは「傍聴される方は入場時に消毒液で手洗いをお願いします。マスク着用を促す場合もあります。体調が優れない方は傍聴をお控えください」とある。
問われているのは姿勢だと思う。
(2020年3月18日号・本紙掲載分より転載)
株式会社タウン通信代表取締役。地域紙「タウン通信」を多摩北部で約10万部発行、ウェブサイトでも地域情報を発信する。著書に
『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、
『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、
『起業家という生き方』(同、共著)、
『スポーツで働く』(同、共著)、
『市役所で働く人たち』(同)がある。
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