グーグルの道

11月23日の「勤労感謝の日」は、最近では「ワーク・ライフ・バランスの日」ともいうらしい。

そうか、私もバランスを取らねばと義務感を覚え、家族と共に車で小旅行に出かけた。

帰路についたのは御殿場あたり。グーグルマップでルート検索すると、「東名高速ルート」と「中央高速ルート」ともに所要時間3時間35分と渋滞ぶりを表示している。東名道を選んだ。

が、高速道路に向かう途中、マップに「30分短縮ルートがあります」の表示が。30分!? とろくに検討もせず、そっちに切り替えると、途端に案内される道は、地元の人しか通らないような生活道路になった。くねくねと進み、やがてそれは深い山道に。「本当にこの道で大丈夫なのか!?」と不安になるも、時折、東京ナンバーの車が現れるので、「彼らも同じルートを案内されているのだろう」とちょっと安心する。

やっとまともな道になった……と一息つくと、そこは箱根だった。そこから小田原に下り、小田原厚木道路で東京方面へ。迂回も迂回、自分では絶対に選ばないルートで、「グーグルってすごいな」と感心する反面、難路を長距離走らされ、車にも自分にもずいぶんと負担が掛かった気もした。

以前、グーグルマップを頼りにした登山で、難ルートに導かれるという問題があった。地図上で効率良く見えても、急崖や岩場であったりと、登山では命の危機に直結する。考えてみれば車なら、メンテナンス不良の非力な車両もあるわけで、あんな山奥で故障などしたら目も当てられない。

AIを信用しすぎるなという戒めにすると同時に、AIにはもっとワーク・ライフ・バランス視点が必要だな、などと門外漢のくせに偉そうに思ったりもした。効率だけじゃなく、利用する人間のことも考えてくれなきゃ。遠からず、ちゃんと学習するのだろうけど。

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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