新型コロナウイルスの影響で人が集まるイベントの開催が難しいなか、地域で実施されるイベントのスタイルに変化が生じています。
ITを活用したオンライン会議などは「コロナ」拡散直後から広まりを見せていましたが、ここにきて、コンサートや行政によるパブリックコメントなどもオンラインで実施され出しています。
その現場を覗いてみました。
バイオリン発表会、留学報告会、行政の計画公表など
「次のグループの方、中へどうぞ―—」
8月10日、小平市にある「スズキ・メソード花小金井教室」でのこと。教室の広さを考慮し、1グループ4人ほどに分かれ、入れ替わりながら、コンサート(発表会)が実施されました。
参加したのは、3歳から中学3年生までの27人。web会議サービス「zoom」を使用し、各家で、保護者らが子どもたちの演奏を見守りました。
スズキ・メソードは、楽器演奏を通した能力開発で知られ、今では世界46カ国に広まります。その一つ、北多摩支部の花小金井教室では、創始者・鈴木鎮一さんからの指導も受けた武井玲子さんのもと、30年以上にわたって夏のコンサートを開いてきていました。
今年も7月12日に小平市ルネこだいらの中ホールを押さえていましたが、「コロナ」のため、開催を断念。「ホールで弾けないならコンサートの意味はない」「オンラインでは音が悪くなる」などさまざまな意見があるなか、オンラインコンサートに切り替えました。
指導者の武井さんは「良さも悪さもあった」と指摘します。
「ホールの舞台に一人で立つことに比べ、教室での開催では、緊張感を作るのが難しい。また、どう聞こえているのかよく分からないという不安感もありました。
ただ、一方で、引っ越していった遠方の子どもたちや関係者に演奏を見てもらえるのはオンラインならでは。また、学校の規定で外出ができないお子さんもいましたが、自宅での演奏で参加ができ、どこにいても全員が参加できるというメリットも感じました。
コンサートは、一つの区切りをつけるという意味で、子どもの成長過程で不可欠なものです。今後の『コロナ』の収束が見えないなか、上手にオンラインを活用すれば面白いことができそうにも思えました」
ちなみに、同教室では、春以降、レッスン自体をオンラインに切り替えた生徒が数人いるそうです。武井さんはオンラインレッスンを続けた子たちに対し、「教室に通った子に比べ、伸び方が劣った印象がある」と指摘します。
日頃のレッスンでは、楽器の持ち方、振る舞いなどにも目を配っているとのことで、オンラインだけでは子どもの変化に気付くのが難しいとのことでした。
留学報告会
例年の恒例行事をオンラインに切り替えたということでは、ヒッポファミリークラブの留学報告会も同様です。
多言語習得や国際交流を行う同会では、1年間留学してきた高校生たちの帰国報告会を行っていますが、今年は全国各地でオンライン開催に移行。8月2日には、西武線地域で3回目となるオンライン報告会が開かれ、スペインに留学した西東京市の兒玉明未さん(1年生)、カナダに留学した亀井梨音さん(3年生、所沢市)、横手愛美さん(2年生、日高市)の3人が、それぞれの体験を語りました。
その後、メキシコ留学の経験がある大学生、田村春菜さん(西東京市)の司会のもと、座談会も開かれました。
こうした報告会は、やはり区切りをつけるという点で非常に重要だといいます。
地域で長く活動する井内わかさんは
「留学体験を自分の中で確固としたものにするためにも、言語化して、人に伝えていくことが重要です。その機会は、帰国から早ければ早いほど良い。
何を話すかなど、事前に子どもたちと念入りに打ち合わせる必要があるため準備は大変ですが、先延ばしせずに実施できる点で、オンラインは有効だと思います」
と話していました。
なお、当日の報告会の様子は、YouTubeで紹介されています(https://youtu.be/ovGflGN_LTE)
行政の懇談会もオンライン化
このようなオンライン化は急速に進んでおり、行政の計画公表などもIT活用で実施され出しています。
小平市では、7月に、環境基本計画の素案を動画で公表。それに対しての意見募集などを行いました。
現在は、市の最上位計画となる「(第四次)長期総合計画」の公表を、YouTubeを活用した動画だけでなく、コミュニケーションアプリの「LINE」でも実施。こちらは、計画に関する動画やPDFを見られるだけでなく、直接、パブリックコメント(市民意見)を送付することもできる仕組みとなっています。
ちなみに、LINEを活用したパブリックコメントは都内初の試みで、全国的に見てもかなり先行的な取り組みだとのこと。
今後、このような情報公開は行政においてもスタンダードになっていきそうです。
なお、(第四次)小平市総合計画へのパブリックコメントは、8月25日までです。
◎小平市