空き家減少を目指す「空家等対策の推進に関する特別措置法」がさる5月に本格的に施行されて以来、空き家に対する関心が地域で高まっています。
空き家は人口減少とともに増加が懸念されていますが、個人所有の物件だけに、行政が介入しづらいのも事実。そんななか、民間による活動が活発化しています。
地域の実情を追いました――。
対応模索の行政 民間ではサービス先行例も
全国の空き家率は13.5%(別荘など含む)ですが、このうち放置などで問題視される空き家は約5.2%(約318万戸)。20年前に比べ、約2倍に増えています。
この地域の放置等空き家は、2013年2月の公表データ(総務省)で、西東京市=約1.7%(1640戸)、東久留米市=約0.2%(110戸)、小平市=約2.3%(2150戸)。ただし、その特定は難しく、実態と離れている可能性もあります。
人口が減りにくい都市部では放置等空き家の率は低めですが、住宅が密接するだけに、問題が顕在化・深刻化しやすい面もあります。具体的な問題では、雑草・悪臭などによる生活環境や景観の悪化、不法侵入や放火などのおそれ、家屋倒壊の危険性、などがあります。
毎日1件ペースで苦情
この中でも、とりわけ都市部で問題となるのは「草木の繁茂」です。
通行の妨げになるケース、落ち葉の散乱、害虫の温床、防犯上のリスク……など、まさに百害あって一利なし。実際、西東京市危機管理室によると、昨年度の空き家への苦情総数約20件のうち、8割近くが草木繁茂の指摘だったといいます。
また、小平市地域安全課の担当者は「特に夏場は、毎日1件のペースで近隣の方から空き家の草木への苦情が寄せられる」と話します。
こうした事態に対して各自治体では、所有者に文書で改善を促すなどしていますが、「特別措置法」で代執行権が認められたとはいえ、個人の所有物に対してどこまで要求するかは判断が難しいものです。最終的には所有者任せとなるのが実情です。事情に詳しいNPO法人空家・空地管理センター(所沢市)の山口善久さんは、
「空き家の原因は、ご高齢の所有者の長期入院や施設への入居、相続したけれども家の中の片付けが進まない、相続者の間で活用・処分の意見が割れている、といったケースが多いです。将来は売却したいという方が大半ですが、いわば保留している状態なので、対応が進みにくい傾向があります」
と指摘します。
ちなみに、同NPOでは、西武線沿線を対象に空き家管理サービスを実施。通気・通水や雨漏りチェックなどを行う管理は、月4000円から受けています。相談業務も行っており、その件数は毎月50件にのぼるそうです。
(詳細は同センター=04・2925・0250)
電話一本で草木管理も
このような家屋管理のニーズがある一方、「費用を抑え、ともかく庭木の管理だけはしておきたい」という所有者も多いです。
このニーズに地元で応えているのは、西東京市の庭木カット専門店「ベストガーデン」。今年は空き家関連の依頼が多く、多少遠方でも作業に出向いているといいます。特に好評なのは、依頼者が現場に同席しなくても応じてくれる点です。
「電話一本で頼める気安さがなければ、業者に依頼する意味がありません。一番の目的は、少しでも早くそのお宅がきれいになるということ。仕事とはいえ、それで地域貢献できるなら、こんな喜びはありません」
と福嶋翼代表。
猛暑続きということもあり、「慣れない作業を無理してなさるのは危険です」とも呼びかけています。
詳しくはお電話を。
空家等対策の推進に関する特別措置法
放置等空き家の減少を目的に、庭木処理等で市町村に代執行の権利を認めています。また、特定空家に認定された場合、関連法により、固定資産税等の軽減措置が受けられなくなります。なお、小平市ではこの措置法以前に、空家対策の条例を施行しています