東久留米市にある「自由学園」の初等部の食堂など15棟およびキャンパスの門が、このほど、DOCOMOMO Japan(ドコモモ・ジャパン)の「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されました。
ドコモモは、1988年に発足した、モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際機関で、日本支部では、現在、238件を「モダン・ムーブメントの建築」として選定しています。
学校建築の一つの理想を実現している
今回選ばれたのは、自由学園南沢キャンパスにある門、初等部の食堂と教室、女子部の食堂・教室・回廊・体操館・講堂、男子部の教室と体育館。1929年から36年までに造られたものです。
設計は、近代建築の三大巨匠の一人とされるフランク・ロイド・ライトの弟子で、ライトと共に帝国ホテル2代目本館(通称・ライト館)などを設計した遠藤新。自由学園創立者の羽仁もと子・吉一夫妻と同じ教会に通っていた縁から設計を任され、羽仁夫妻と共に、キャンパス全体の構想を練ったといいます。
今回の選定においては、「我が国における学校建築のなかでも一つの理想を実現させた重要な作品群」と評価されています。
「良質な環境を大切に、より良い教育を」
なお、自由学園の建築では、豊島区にある「自由学園明日館」も2003年に選定されています。こちらはライトと遠藤による共同設計の建築です。
選定を受け、同学園の高橋和也学園長は
「美しいデザインの建物と自然との調和は、子どもたちの感性を育む上で大事な要素。その価値と環境を大切にしながら、より良い教育を中心に据えて進みたい」
と話しています。
同学園の建物、自然などはインスタグラム(https://www.instagram.com/jiyu_gakuen/)でも紹介されています。
多摩北部では、ほかに2建築が選定
多摩北部では、今回の自由学園南沢キャンパスに先行して、2つの建築物が「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されています。
1つは、小平市にある武蔵野美術大学の鷹の台キャンパスの建築物です。具体的には、アトリエ棟(武蔵野美術大学4号館)、正門、1号館、中央広場、7号館、美術館棟、鷹の台ホールA号館です。「(ソニービルや東京芸術劇場なども設計した建築家の)芦原義信が唱えた外部空間の理論が明快に実践されている」と評価されています。
もう1つは、清瀬市にある東京病院の外気舎記念館です。こちらは、「結核の経過観察と作業療法に特化した極めてプリミティブな形態と構法」と評価されています。
◎自由学園
◎東京病院