青梅街道と新小金井街道の交差点に面してあるのが延命寺です。
延命寺は、野中新田の開発に伴って開かれた、真言宗の寺社です。
まずは寺院の様子を動画でご覧ください。
動画(41秒)
商業的に開発された野中新田
野中新田は、小平でさまざまに行われた新田開発のうちの一つで、特徴的なことに、名主や組頭を商人が務めたという点があります。
先行した小川村の成功や、新田開発が幕府から推奨されたことなどがあり、「商業」としての新田開発が行われたといえるでしょう。
野中新田の開発には、現在の花小金井駅北口にある「円成院」が深くかかわっており、新田全域の菩提寺になる見込みでいましたが、開発が4つの組に分かれた結果、各地域に寺社が作られることとなりました。
その一つが、延命寺です。
中藤村から引寺
延命寺のある一帯を率いたのは、野中善左衛門です。
開拓農民の中に多摩郡中藤村(武蔵村山市)方面から移住してきた者が複数おり、当地の真福寺から引寺したと伝わっています。
開基は善左衛門と、浄範和尚が行いました。
門前に庚申塔
現在は厳かな雰囲気のある延命寺ですが、門前に庚申塔があり、青梅街道の歩道から気軽に見学することができます。
この庚申塔は小平市民俗有形文化財第1号に指定されているもので、1850年(嘉永3年)に造立されたといいますが、170年も経っているとは思えないほど、きれいな状態で残っています。
庚申塔横に設置された案内板では「中央に青面金剛を刻む図像塔で、基部の三猿は、衣装を身に着け、絵帽子をかぶり、御幣を担いで三番叟を舞うユーモラスな姿で表現されている」と紹介されています。
凝った意匠は、あるいは、ほかの新田や寺社に対しての見栄だったのかもしれません。そんな想像をしながら眺めると、青梅街道に面した門前に庚申塔を置いた理由が見えてくるようにも思え、当時の人々が身近に感じられてきます。
データ
延命寺
◎小平市天神町2-5
◎042-341-0449