相続などの影響もあって、どんどん昔ながらの「屋敷」が姿を消すなか、2018年(平成30年)春に国登録有形文化財に登録されたのが、西東京市下保谷にある「高橋家」です。
下保谷で高橋家というと、「旧高橋家」とも親しまれる「下保谷四丁目特別緑地保存地区」を思い浮かべそうですが、こちらの「高橋家」は別のお宅です。といっても、両家は徒歩1分ほどのご近所。一帯は、かつての武蔵野の面影を色濃く残しています。
かつての武蔵野の暮らしを伝える旧家
さて、新たに登録された「高橋家」。登録されたのは、主屋、土蔵、衣装蔵、納屋、表門の5棟です。
同家を所有する高橋孝さんによると、敷地は総面積1200坪とのこと。主屋は昭和2年に竣工。土蔵や衣装蔵は明治8年以前の建築だそうです。
高橋家は、江戸期には交代名主を勤めた旧家で、明治以降、雑穀の仲買、製茶、藍玉づくり、生糸生産などを幅広く行い、財を成したそうです。いろいろな事業に取り組むなかで敷地内の整備も必要だったらしく、藍玉で水を用いることから、敷地内には井戸が4つもあったりします。
「維持するのは容易ではない」
緑豊かな庭と、広々した邸宅。なんともうらやましい限りですが、実は、そうのん気な話でもないようです。
「維持していくのは容易ではない」と高橋さんは漏らします。
特に木々の管理が困難だそうで、落葉の季節などは、樋の掃除を頻繁に行わなければならないそうです。木々が大ぶりなので、伸びた枝を切るのも一苦労です。
ちなみに、高橋孝さんはこの地域の郷土史に詳しく、研究を続けています。自身も歴史ある住まいを残すことに、責任を感じているようです。
表門、米蔵(衣装蔵)、主屋を、それぞれ高橋さんにご紹介いただきました。屋敷林の様子と併せて、約1分の動画でご覧ください。
57秒
データ
住所:西東京市下保谷4-6