小平中央リハビリテーション病院の理学療法士・島崎重和さんに聞く!
ベネッセスタイルケアが、医療機関の協力のもと開催する「地域医療セミナー」。
今月10日(日) には小平市・花小金井で、16日(土)には 国分寺市で、「脳梗塞の予防と予後のリハビリ」をテーマに理学療法士が話します。
セミナーに先がけて講師の島崎重和さんにお話を伺いました。
(主催/ベネッセスタイルケア 協力/小平中央リハビリテーション病院)
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
脳梗塞とはどんな病気?
――脳梗塞について教えてください。
「脳梗塞は脳の血管が詰まる病気で、出血を伴う「脳出血」や「くも膜下出血」と合わせた総称「脳卒中」のうちの一つで、その中で最も発症数が多いのが脳梗塞です。
脳卒中を含む脳血管疾患は、日本ではかつて長期にわたって死因の第1位だったこともあり、がん・心臓病とならび日本人の“三大疾病”と言われてきましたが、1960年代頃から高血圧への対策を強化したことによって死亡数は減少、近年の医療技術の進歩もあり、現在は死因の第4位となっています。
ところが、死亡率は改善されたものの新たに発症する患者数は減っておらず、脳卒中の有病者数は今後も増加すると推測されています。
これは脳卒中が生活習慣病の一つであり、中高年以降で発症することが多く、高齢化社会の進行が大きく影響していると言えます。
生活習慣と加齢によって進行する動脈硬化や、高齢者に多い不整脈のひとつ『心房細動』などが脳梗塞の主な原因とされています」
60%に後遺症が残ると言われている
――脳梗塞の怖さとは?
「生死に関わる病気だということはもちろん、一命をとりとめたとしても、長期間の入院治療や後遺症が残る可能性もあるために恐れられています。
発症した人の約60%が何らかの後遺症が残るといわれています。
後遺症はダメージを受けた部位や損傷の程度にもよりますが、主なものとしては「片マヒ」などの運動マヒや感覚障害、嚥下障害、失語症、高次脳機能障害などがあります。
脳梗塞を含む脳血管疾患は介護が必要な状態になる最大要因とされています。
突然発症し、予後も後遺症が残り要介護状態になることも多い脳梗塞は、患者さん本人はもとより、ご家族や周囲の方にとっても、予後の日常生活に大きな影響を及ぼすことになります」
リハビリはどのように?
――予後のリハビリに理学療法士はどのように関わるのですか。
「リハビリは発症直後の「急性期」、失われた身体機能を取り戻すための訓練をする「回復期」、自宅や介護施設等での日常生活のなかで行う「生活期」の3段階があります。
当院では主に回復期を担っており、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、MSW(メディカルソーシャルワーカー)などがチームを組んで行っています。
自宅復帰が主な目標で、食事・更衣・入浴などの日常生活動作を集中的に訓練します。
その中で理学療法士は、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、障害の予防を目的とした運動療法の施術を通じて、退院後に自立した日常生活が送れるよう支援することが役割です。
リハビリは身体的にも精神的にもつらく苦しいというイメージがあり、実際にそうなってしまいがちですが、患者さんやご家族のお気持ちに寄り添ったサポートで、1つ1つの動作が回復していく過程を、一緒に喜びあいながら、笑顔でリハビリを続けられるような関係づくりを心がけています」
――セミナーではどのようなお話を?
「今回のセミナーでは脳梗塞の予防と、予後のリハビリについて、これまで私が経験した実例を挙げながら、詳しくお話しする予定です。ぜひご参加ください」
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)