街かど診療室

保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム

眼底出血、糖尿病網膜症、眼外傷(アトピー含む)、眼内炎症(ぶどう膜炎)などにより、隅角に血管が生えてきたり、炎症が起こって隅角に膜が張ってしまうことがあります。

この場合、眼の中の房水(栄養水)が出口を失い、眼圧が急激に上昇します。前述の疾患に罹患している場合は、急に頭痛嘔気がして、霧がかかったように見えづらくなります。

眼が赤くなってきた際は、すぐにかかりつけの眼科を受診してください。中途失明の大きな原因であり、あれよあれよという間に症状が進行するため、素早い対応が必要とされます。

 

現在は治療法が増えている

以前は内服と点眼で眼圧が下がらなければ、通常の緑内障手術でしたが、続発緑内障に関しては治療成績が非常に悪く、治療しても失明に至ることが多くありました。現在は、治療もいろいろな方法があります。  

新生血管による緑内障の場合、新生血管を一時的に抑える薬剤を眼内に投与し、新生血管が収まったところで通常の緑内障手術を行うと成功率が上がります。

 

専門施設で、さらに高度医療も

それでも奏功しない場合もしくは炎症による隅角の閉塞が原因の続発緑内障では、眼球の奥にプレートを入れ、チューブを隅角もしくは虹彩の後に留置することで眼圧は落ち着いていきます(セトン手術)。 ただし、一般的な治療ではないことから、専門施設での手術となります。

施設によっては、セトン手術を行わず、眼球に冷凍凝固を30発程入れる毛様体破壊術(半分程度破壊することで房水の産生が抑制され、眼圧が下がる)を選択する場合もあります。

該当する場合は主治医と相談の上、治療を受けてください。

 

プロフィール

伊藤 勇

「保谷伊藤眼科」院長。大学病院で最先端の眼科医療に携わった後、同院を開業。白内障等の日帰り手術のほか、網膜硝子体疾患手術、緑内障手術、眼科一般診療などを幅広く行っている。公式ホームページ:http://www.itoganka.com/

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