西東京市と吉祥寺をノンストップで結ぶバスを運行し、そのターミナルで地元農産物を扱うマルシェができないか――。
先月、そんなユニークなアイデアを打ち出した西東京市の市民グループ「チーム24分ですむまち」が、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局主催の「地方創生☆政策アイデアコンテスト2015」で大臣賞・優秀賞に次ぐビザ・ワールドワイド賞(協賛企業社長賞)を受賞しました。
メンバーたちは「アイデアの実現や、ほかの分野の新規企画に向けて、多くの市民と一緒に取り組んでいきたい」と張り切っています。
「東伏見公園にパスターミナル」というアイデア
同グループが打ち出したのは、西東京市の南東部に広がる東伏見公園の一角に自家用車の駐車場を備えたバスターミナルを設け、田無駅~ターミナル~吉祥寺駅をノンストップでつなぐバスを運行するというアイデアです。
これによって、地域活性化や市の付加価値アップを狙います。
ターミナルには地元の農産物などを売るマルシェを開き、たとえば、ターミナルまで車で来て駐車→バスで吉祥寺へ→吉祥寺で買い物など→バスでターミナルに戻る→新鮮野菜を購入→車で帰宅、といった移動を可能にします。
将来的には、吉祥寺の人たちが西東京市に野菜を求めに来ることもイメージしています。
データに基づいて構想
このアイデアが特徴的なのは、単なる思いつきではなく、データに基づいている点です。
バス運行については、休日に吉祥寺(武蔵野市)に出る西東京市民が多いことや、西東京市は農産物の直販比率が高いことなどから発想しています。
同グループ代表の、エフエム西東京メディア・アドバイザー・有賀達郎さんは「データの裏付けがあるので、市民のニーズに合うはず」と、今回のアイデアに自信を見せます。
企業、NPO理事、IT企業職員などがメンバー
このアイデアを出した同グループは、昨年6月の私的勉強会をきっかけに発足しました。
国のビッグデータ「RESAS」(リーサス、地域経済分析システム)が同年4月に公開されたのを受けて集まったもので、以降、地元企業経営者やNPO理事、ワーキングマザー、IT企業職員など8人でデータ分析や議論を重ねてきました。
ちなみに、グループ名の「チーム24分ですむまち」は、主要地区まで24分以内で行けることや、西東京の「西=24」、すむ=住む・近隣で用事が済む、といった同市の特徴から命名しています。
同会は同市を「典型的なベッドタウン」ととらえており、今回のバス運行も、「ベッドタウンとしての魅力を高める」という観点から企画しています。
「これを励みに、もっとまちづくりにかかわりたい」
なお、RESASでは産業や観光、人口などの全国のデータが提供されており、誰でも閲覧できます(https://resas.go.jp/#/13/13101)。
RESASの提供は地方創生事業の一環で、これに合わせて国はアイデアコンテストも実施。全国から900件以上の応募があり、10団体が受賞しました。
受賞団体は高校や大学、県庁などによるものばかりで、市民だけで構成されたのは同グループのみです。
有賀さんは「大賞を逃したのは残念だが(笑)、市民発の夢物語が評価されてうれしい。これを励みに、もっとまちづくりにかかわっていきたい」と話しています。
同グループについてはFacebook(https://www.facebook.com/groups/429321543929465/)へ。
コンテストの詳細は右記ホームページ(http://expo.nikkeibp.co.jp/bdc/resas/contest2015/)へ。