18日(月・祝)、西東京ジュニア・ユースオーケストラが、設立10周年の記念コンサートを行います。
……が、晴れの舞台のはずのこの公演は、一転、指導者への追悼の意味も持つことに——。
先月、指導してきた西森光信さんが60歳の若さで突然死。公演見合わせの声も出るなか、急きょ、国内外で活躍する大友直人さんが代役を務めることになりました。本番を前に、「是が非でも成功を」と団員の練習は熱を帯びています。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
日フィル・ファゴット奏者の西森さんが結成当初から指導
ジュニアオケは、「子どもたちに合奏の楽しさを」と、現在事務局長を務める高橋令子さんらが中心になって2006年に結成。高橋さんの夫の西森光信さんが日本フィルハーモニー交響楽団でファゴットを吹くプロ奏者だったことから、主に西森さんがジュニアオケの指揮を受け持ちました。
現在の団員は小学3年生から大学生までの約25人です。
年に1度の定期演奏会や市民文化祭での演奏など、精力的な活動を続けており、レパートリーもベートーベンの交響曲など本格的です。今回の「設立10周年記念コンサート」でも、ベートーベン交響曲第5番「運命」、J・シュトラウス「美しく青きドナウ」、モーツァルト「ディベルティメント K・136」を披露します。
祝賀ムードが一転
この春には公演に向けて合宿を行うなど、祝賀ムードのあったジュニアオケだったが、事態が急転したのは、先月6日のことです。
結成以来の指導者・西森さんが、急性心不全により他界しました。
前日には日フィルで演奏しており、帰宅後もいつもと同じ様子で就寝したそうですが、朝、起きてくることはありませんでした。
日フィル一筋40年の音楽人生
西森さんは、岡山県出身で、国立音楽大学を卒業後、日フィルに入団。以来、日フィル一筋で約40年を過ごしました。
その間、指導者として生徒を持つことはほとんどありませんでしたが、唯一、ジュニアオケにだけは熱心にかかわりました。有給休暇を取って練習を見たこともあり、「プロでもアマでもない、ジュニアは特別な存在」と常々語っていたといいます。
ジュニアオケに属して4年という中学2年生の富田麻理乃さんは、西森さんの印象を「いつも笑っていて、明るい先生でした」と振り返ります。
「コンサートを成功させることが私たちの責任」
突然のことに団員のショックは大きく、これが初めての葬儀という子どもも少なくなかったことから、「記念コンサートは無理ではないか……」の声も出たといいます。
そんな中で転機となったのが、西森さんの友人の指揮者・大友さんが「ぼくができることなら何でも」と名乗り出てくれたことでした。有名指揮者の大友さんのスケジュールがたまたま空いていた奇遇に、高橋さんは「これも西森のおかげかな」と話します。
急な状況変化は大きな試練となりますが、「これを成功させることが今の私たちの責任」と団員の思いは一つです。
公演は午後1時30分から、同市保谷こもれびホールで。
入場料1000円(高校生以下無料)。同ホールとジュニアオケ事務局で販売中。東京都トヨタ販売会社グループとトヨタ自動車協賛。
詳しくは高橋さん(090・5407・0695)へ。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)