寄 稿
「自宅が一部損壊の人には帰ってもらうという考え方もあるんだ」「親を失った子どもたちをどうしたら安心させることができるだろう」「トイレに流す水には、雨水を貯めたらいいのでは」――。
さる7月9日、西東京市立青嵐中学校でのひとこまだ。2年生全員を対象に、避難所運営ゲーム(HUG)を実施した。
HUGは、避難者の特徴などが書かれたカードを避難所と模した大きな用紙に適宜配置していくゲーム。実際の被災時に避難所で避難者をどう保護していくか、具体的にイメージできるゲームとなっている。
私たち「田無スマイル大学」(=市民団体)では、今年度、西東京市NPO等企画提案事業に採択され、「中学生の生きるチカラを育むワークショップ」を実施することとしている。そのメニューがHUGで、今回が1回目。大人向けには20回以上実施してきているものの、中学生を対象にするのは初めてで、内心、ハラハラしながらの実施となった。
中学生のやさしさが伝わってきた
終わってみれば、中学生らしいやさしさや気遣い、工夫が感じられる良いイベントとなった。感想に、「普段から自宅に食料を用意しておいて、避難所に持ってくれば皆が助かる」と書いた子が多い。また、「小さい子どもや、障害者、病人、妊婦などへの配慮をしたい」など弱者を気遣う感想も多かった。
そのほか、「これから、ニュースなどで避難所を見るとき、自分ならどうするかを考えてみる」「自分にできることがあれば手伝いたい」など、主体的に考える様子もうかがえた。
中学生たちが、これをきっかけに、さまざまな立場の人への理解を深めたり、社会の一員として自分に何ができるかを考えたりするようになってもらえたらうれしい。
(田無スマイル大学実行委員会代表 富沢木実)