東久留米市に、国内でも希少な「宗教音楽研究所」があるのをご存じでしょうか。
世界的にグレゴリオ聖歌が演奏されなくなっているなか、同研究所では、日曜日ごとに古典的なミサを行い、教育機関として聖歌の伝承に取り組んでいます。
一方で、地域との関係も深めており、宗教不問のカルチャーなども開催。地域に向けた多彩なイベントを、精力的に開いています。
祈り、研究、教育を柱に
同市氷川台にある「聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所」は、ドイツで教会音楽を学んだ橋本周子所長と、ドイツから布教のために来日していたゲレオン・ゴルドマン神父の「日本の教会音楽の発展と典礼教育のために研究所が必要」との思いから、1979年に設立されました。
不動産業者を通して紹介された同地は、元修道院だったといいます。
同研究所では、「祈り」「研究」「教育」を3つの柱とし、西洋の宗教音楽の研究や音楽家の育成などに取り組んでいます。
グレゴリオ聖歌の研究・伝承に取り組む
中でも出色なのは、西洋音楽の原点とも言うべきグレゴリオ聖歌の研究・伝承を行っている点です。
グレゴリオ聖歌は口伝されてきた聖歌が1000年ごろまでに編さんされたもので、無伴奏・単旋律・ラテン語が特徴です。カトリック教会では、正式な聖歌としてミサなどで歌われてきました。
しかし、1960年代のバチカンの会議で母国語での聖歌が認可されたことにより、難易度の高いグレゴリオ聖歌は世界各国で次第に歌われなくなっていきました。
日本国内においては、現在では音楽大学でもカリキュラムを取りやめるところが増えています。
そうしたなかで同研究所は、「古典を学ぶことで、音楽への理解が深まる」と、中世や近代の音楽を大事にしながらも、あくまでもグレゴリオ聖歌を柱に据えています。
日曜日ごとに古式のミサを行い、イースターやクリスマスなども、古典的なスタイルで続けています。
原点抜きに伝承はありえない
こうした機関は国内では珍しいものです。
古典にこだわる理由を橋本所長は「原点を抜きにして伝承はありえません。戦後の日本が根を失っているように見える今、文化をきちんと伝承するためにも、古典を大事にしていきたい」と説明します。
「文化の伝承」を重視する同研究所では、日本の伝統文化にも着目。日本の歌曲や平家物語の語りなどのイベントも開いています。
宗教音楽の研究所と聞くと尻込みしてしまいそうですが、イベントやミサには誰でも参加できます。
「古典的なミサを見てみたい」という好奇心での見学も歓迎というので気軽にご参加を。
バザー開催
23日には、地域で好評という「バザー」も開催します。
午前10時30分から午後2時30分まで。衣料品・雑貨や、ホームメードの菓子、本・CDなど。
正午からは聖堂でのミニコンサートもあります。
なお、同研究所では、運営支援の賛助会への参加も呼びかけています。
年会費は1万円~。
詳しくは同研究所(042・474・8915、氷川台2の7の12)へ。