健康づくりに取り組んで「カード」を入手すると、地域のお店の割引や一品サービスなどが受けられる――。
各市が健康増進事業に取り組むなか、東久留米市が、市民の健康づくりと地域振興につながる独自企画を展開しています。
1月にスタートし、1カ月で登録者は120人。登録店舗も130軒を超え、上々の滑り出しを見せています。
無料カードで、特典多数
同市が1月から始めたのは、「東くるめわくわく元気plus+(プラス)」という取り組みです。
健康への自分なりの取り組みなどを健康課に申請すると、無料で「カード」が発行されます。それを地域の協力店に提示することで、各店の独自特典を得られる仕組みです。
協力店は現在約130店に上り、10%引きや粗品進呈、デザートなどの一品サービスなどが受けられます。カード1枚で何回でも利用できるので、例えば、A店で買い物をして粗品を受け取った帰りに、B店で食事をして5%引きのサービスを受けるといったことも可能です。
カードは3カ月限定ですが、再申請は何度でもできます。
スタート時点では、23歳から85歳までが参加
1月22日に本格的にスタートし、1カ月で登録者は23歳から85歳までの120人を数えました。アンケートでは回答者の9割が「継続したい」と答えており、市では手応えを感じています。
市とともに市民の立場で事業にかかわっている健康づくり推進員(推進員)・推進部会の会長・鷹羽粛さんは「従来の健康支援は個人に呼びかけるものだったが、これは町ぐるみで実施するところに特徴がある。地域振興にもつながるので、多くの市民に参加してほしいです」と話します。
ちなみに、店側の協力は有志によるもので、市からの助成やキックバックなどはありません。そうしたことから市は、当初30店程度の参加を見込んでいましたが、推進員の声かけなどにより、予想を遥かに超える協力を得られました。
ボランティア参加となる推進員には現在約40人が登録しており、健康課の林世津子係長は「市民の力を感じている」と話します。
広がる「健康」施策
このような「町ぐるみで健康づくり」の取り組みは全国の自治体で進められており、地元でも、西東京市が老化現象を遅らせる「フレイル予防事業」に着手するなど、さまざまな動きが見られます。
背景には、高齢化に伴う医療費の増大やコミュニティの希薄化などがあります。
地域活動への参加と健康状態との関連性は多くの調査で明確となっており、今や、自治体にとって「健康づくり」は地域活性化、コミュニティ再生、財政改善などあらゆる面で重要テーマとなっています。
自治体では珍しい企画「クピオ」
東久留米市ではこのほか、国民健康保険加入者を対象とした「QUPiO(クピオ)」という健康事業も行っています。
クピオは健診などでグッズ等に交換可能なポイントがたまるもので、自治体では珍しい企画です。
「わくわく元気plus+」も「QUPiO」も、ともすると「お得」が先立つ感じがしますが、同部会・副会長の橋村幹生さんは「『お得』が入り口だとしても、市民の間に『健康』への意識が高まることが大切。みんなが少しずつ意識していくことで、市民の健康寿命は延びていくはず」と指摘します。
なお、地域協力店及び「お得」情報の一覧は市ホームページからも確認できます。
詳しくは同市健康課(042・477・0022)へ。