直径27.5メートルの天空に現代アート画の88星座が浮かび上がる――。
東久留米市在住の現代アート作家・大小島真木さんが描いた星座が投影されるというユニークなプラネタリウム番組「全天88星座~光が語る天球の地図」が、多摩六都科学館で上映されています。特設ウェブサイトでは、その原画展も展開中です。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
多摩六都科学館で、7月14日まで
投影されているのは、鮮やかな色合いで描かれた、生き物や神話の登場人物などです。形状は星座の形に沿いつつも、顔などが細部まで描き込まれ、一つ一つの絵が魅力的な芸術作品となっています。
メッセージ性も強く、例えばおおぐま座は、姿を熊に変えられて森をさまよったというカリストの神話に基づき、その体から植物を発芽させています。森の中で体に種が付いたというイメージです。
また、季節感も重視されており、例えばうしかい座は春の星座であることから、両手に、梅とスミレを持たせています。
描いた大小島さんは「星座は季節と連動しているので、そこは特に意識しました。空の神話の世界と地上の今とがうまくリンクできれば、と願っています」と話します。
国際的に活動する大小島真木さん
大小島さんは、東久留米市出身・在住の若手芸術家で、上野の森美術館で20年以上続く「VOCA展」での奨励賞ほか、ワンダーウォール賞などの受賞歴を持ちます。
国際的に活動し、この春には、海洋生物保護のためのフランスの調査船タラ号にレジデンスアーティストとして乗船し、世界の海を巡ったばかりです。
自由な視点で動植物を描くことが多く、生と死や、多様性、循環などをテーマとしてきています。
南沢氷川神社の天井画をきっかけに
そんな大小島さんがプラネタリウム番組の作画をすることになったのは、2年前に実施された南沢氷川神社での天井画プロジェクトがきっかけです。
地元の文化・芸術振興を目的に市民で活動する「東久留米アートプロジェクト」の企画で、同神社の拝殿の天井に生き物や多様性をテーマにした316センチ×490センチの絵を展示したもので、この絵を見た多摩六都科学館スタッフが「テーマといい、見上げた感じといい、プラネタリウムの星座の世界に通じる」と88星座の作画を持ちかけました。
「神社で観せた絵は、東久留米の湧き水をモチーフに描いたもの。水が湧き、海に注がれ、気化して空に上がり、雨となって森を育てる。水や森、動植物を描いてきた私に星座の話が来たことに、不思議な縁を感じました」
と大小島さんは振り返ります。
神話などの調査に時間を割き、1年かけて制作
神話や季節の花々を調べることに時間を要し、88星座の原画は約1年をかけて完成しました。現在、同科学館の特設ページで、星座ごとに大小島さんの解説付きで紹介されています(http://www.tamarokuto.or.jp/blog/constellation88/)。
プラネタリウムでの投影は全編生解説で、平日午後3時50分(水曜・土日祝日は1時10分もあり)から。7月14日まで。観覧付入館料1000円(子ども400円)。
なお、会期中の平日に限り、大人は併設のカフェを利用すると観覧料が200円引きになります。
10日に講演も
また、6月10日には、午後5時10分から6時30分まで、大小島さんのトークショー「水、土、森、海、空を巡る星の時間」が予定されています。
小学5年生以上が対象。今回の制作の秘話などを話します。定員100人、参加費として入館料500円。
詳しくは同館(042・469・6100)へ。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)