認知症の徘徊者を探す「模擬訓練」 西東京市で開催

町全体を使って実施  グループホームなど運営の「悠遊」が主催

認知症で徘徊する高齢者をどう救い出すか――。

24日、午前10時から午後0時30分まで、西東京市立保谷小学校体育館を拠点に、地域全体をフィールドにした「認知症SOSネットワーク模擬訓練」が行われます。

グループホームなどを運営する社会福祉法人「悠遊」が認知症への理解などを求めて主催するもので、今回が9回目。「訓練」への当日参加も受け付けます。

(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)

以前開催された際の「訓練」の様子

約10人の徘徊者役が町中に散って…

「訓練」は、10人前後の徘徊者役が町中に散り、それを5~10人のグループで捜していくというものです。

30分の時間制限があり、状況によっては地域商店などへも聞き込みを実施します。時間内に見つけられないことも珍しくありません。

「聞き込み」の様子

見つける以上に難しい「声かけ」

「実は、見つける以上に難しいのが声かけなんです」

過去の事例からそう解説するのは、主催する「悠遊」の理事で統括責任者の伊藤隆志さん。

認知症の人は突然声をかけられるとパニックになることもあるため、「背後から声をかけない」「大勢で取り囲まない」といった配慮が必要なのだそうです。

また、声をかけた後に、スムーズに保護するのも難しいといいます。適切に応対していかないと、感情を害する結果にもなりかねないのです。

 

2011年から「訓練」を実施  徐徐に大規模に

「訓練」は、そうしたことに気づく絶好の場となっており、同会は2011年から年に1、2回のペースで開催してきました。

100人規模だった訓練も、昨年は参加者が150人にまで拡大。市や警察署とも連携して、町ぐるみで実施してきています。

終了後には、反省会も開く

住民同士で支え合うために

このように同会が取り組む根底には、「地域とともに築く福祉」という理念があります。

同会は生活クラブ(生活協同組合)を母体にしており、地域住民同士の支え合いへの意識を高く持っています。

デイサービスなども運営する同会には日頃からボランティアの出入りも多く、その登録者は150人にも上ります。普段の活動では、そうした人たちの力を借りつつ、認知症の人たちの散歩や外食なども積極的に行っています。

「安全のために外出を制限すれば、当事者にとってそこは牢獄になってしまう。いかに普通の生活を保つかが大事。そのためには、地域と関わりを持つことが不可欠です。

今回の『訓練』も、地域と私たちとの交流の場になれば。多くの人に参加してほしいです」

と伊藤さんは話します。

なお、当日参加も可能ですが、できれば前日までに申し込みを。雨天決行。当日は認知症のミニ講座もあります。無料。詳しくは同会(042・424・8106)へ。

(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)

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